第三種電気主任技術者試験 / 令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 / 各問題解説 / 問100
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令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 問100 解説 問10

設問図

入力交流電圧波形vsに対し,図のような入力電流波形isとなる電力変換回路として,正しいのは次のうちどれか。ただし,交流電源のインピーダンスは無視できるものとし,電力変換回路における平滑リアクトルは十分に大きなインダクタンスを持っているものとする。

選択肢図
  1. (1)
  2. (2)
  3. (3)
  4. (4)
  5. (5) ✓ 正答

解説

入力電圧 vsvs のゼロクロス点から遅れて正負交互に一定値で変化する矩形波電流 isis は、平滑リアクトルにより平滑化された電流をサイリスタの位相制御で切り替える単相全波ブリッジ整流回路で生じるため、選択肢(5)が該当します。

整流回路の動作原理と位相制御の法則

交流電力から直流電力へ変換する回路を整流回路と呼びます。整流動作では、ダイオードやサイリスタといった半導体電力変換素子を用いて電流の流れる方向を制御します。

一定の交流電圧が加えられた回路において、大きなインダクタンスを持つ平滑リアクトルが接続されている場合、ファラデーの電磁誘導の法則に基づく自己誘導作用が働きます。インダクタンスは電流の変化を妨げる向きに誘起電圧を発生させるため、負荷に流れる電流のリプル(変動分)が抑制され、直流電流は時間的にほぼ一定の大きさに保たれます。この平滑化された一定電流が、電源側のスイッチング動作に伴って入力電流 isis として現れます。

整流回路の構成には、半波整流と全波整流があります。半波整流は交流の片方の極性のみ利用して電流を流すため、入力電流は片方向(正または負のいずれか一方)にしか流れません。これに対し、4つの素子を橋状に配置した単相全波ブリッジ整流回路では、交流電源の正の半周波と負の半周波の両方で電流経路が確保され、入力電流 isis は正と負の両方向に等しい大きさで交互に流れる矩形波となります。

また、使用する素子の違いによって整流の制御特性が決まります。ダイオードは順方向に電圧が加わると自動的に導通する非制御素子ですが、サイリスタは順方向電圧が加わった上でゲート電極にトリガ信号が入力されて初めて導通する制御素子です。この導通を開始させるタイミング(位相角)を遅らせる操作を位相制御(制御角 α\alpha による制御)と呼びます。サイリスタを用いることで、電源電圧がゼロを交差するタイミング(ゼロクロス点)から任意の角度だけ電流の立ち上がりを遅らせることが可能になります。

単相交流から全波制御電流波形が形成される過程

  1. 入力電流 isis の波形を見ると、正の領域と負の領域の両方に一定の大きさで電流が流れています。交流電源から正負両方向の電流を引き出す機能を持つのは全波整流回路であるため、片方向のみしか電流が流れない単相半波整流回路で構成された回路(1)、回路(2)、回路(3)は不適となります。

  2. 電流 isis の波形は平坦な上面と底面を持つ矩形波となっています。これは、回路に含まれる平滑リアクトルのインダクタンスが十分に大きく、直流側の負荷電流が時間変動のない一定値に維持されていることを示します。

  3. 入力電圧 vsvs が 00 から正へ立ち上がる位置、および π\pi で負へ切り替わるゼロクロス点に対して、入力電流 isis が正または負へ反転する位置は破線で示された分だけ遅れています。ダイオードのみで構成される回路(4)では、電圧が正負に切り替わると同時にダイオードが導通するため、電流の反転に位相の遅れが生じません。電圧のゼロクロス点から一定の制御角だけ遅れて導通を開始できるサイリスタ4個で構成された回路(5)の全波ブリッジ整流回路でのみ、図示された波形が形成されます。

入力電圧 vsvs の正負が切り替わるゼロ点と、電流 isis が反転する破線の位置関係を重ねてみると、サイリスタのゲート制御が電流の波形に与える影響が見えてきます。

参考リンク

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