令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 問90 解説 問9
定格容量100kV・Aの単相変圧器3台をΔ-Δ結線した1組の三相変圧器として使用可能な容量をPΔ[kV・A]とする。これに対して,同一仕様の単相変圧器1台を追加し,V-V結線の三相変圧器を2組並列運転で使用する場合の合計容量をP[kV・A]とする。このとき,PΔに対するPの比であるP/PΔの値について,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 0.577
- 0.943
- 1.15 ✓ 正答
- 1.33
- 1.73
解説
単相変圧器3台によるΔ-Δ結線の合計容量300kV・Aに対して、4台の単相変圧器から構成するV-V結線2組の合計容量が となることから、容量の比率 は と算定され、選択肢の 1.15 が正答となります。
単相変圧器の結線方式と三相出力容量の関係
単相変圧器を組み合わせて三相交流電力を供給する場合、結線方式によって取り出せる三相の合計容量(出力容量)が変化します。
単相変圧器1台の定格容量を [kV・A] とします。
3台の単相変圧器をΔ結線(デルタ結線)した場合、3つの相すべてに1台ずつ変圧器が配置され、各変圧器の定格能力が100%発揮されます。したがって、Δ-Δ結線の三相容量 は、単相変圧器3台分の容量の単純和となります。
一方、単相変圧器2台を用いて三相電力を供給する方式をV結線(ブイ結線)と呼びます。V結線は三相の線間電圧と線電流を供給可能ですが、変圧器内部を流れる相電流と外部に流れ出る線電流の間に30度()の位相差が生じます。この位相差の影響により、2台の単相変圧器の単純和()の全容量を消費電力として取り出すことができず、1台の定格容量の 倍に制限されます。
この関係はV結線の出力特性を決める基本的な性質であり、変圧器の利用率が (86.6%)に低下することを意味します。
結線条件の適用による比率の導出
1. Δ-Δ結線1組の三相出力容量の算定
定格容量 の単相変圧器3台をΔ-Δ結線した場合、各変圧器の容量が完全に引き出されるため、三相合計容量 は3台分の和として計算されます。
2. V-V結線2組の並列運転における三相出力容量の算定
単相変圧器1台を追加して合計4台()とし、2台ずつでV-V結線を2組作って並列運転する場合を考えます。V結線1組あたりの容量は であり、それが2組並列に接続されるため、全体で取り出せる合計容量 はその2倍となります。
単相変圧器が合計4台使用されていますが、V結線の出力制限を受けるため、単純な4台分の和である にはならず、400に利用率 を乗じた が上限となります。
3. 容量比 の導出
求められた合計容量 と の比を導出します。変圧器1台の容量 は分子と分母で打ち消し合います。
数値を代入して計算を行うと、次の値が得られます。
小数点以下第3位を四捨五入すると 1.15 となり、選択肢の数値と合致します。
単相変圧器3台によるΔ結線の容量と、4台を2台ずつ組み合わせたV結線2組の容量について、使用台数の変化とV結線特有の利用率 が合わさる関係性に目を向けると、容量比の数値が導かれる仕組みが見えてきます。