第三種電気主任技術者試験 / 令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 / 各問題解説 / 問172
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令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 問172 解説 問17(b)

設問図

乾燥器の容量(消費電力)を22 kW、総合効率を55 %とするとき、乾燥に要する時間の値[h]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 1.2
  2. 4.0
  3. 5.0
  4. 14.0 ✓ 正答
  5. 17.0

解説

乾燥に必要な全熱量 6.1×105 kJ6.1 \times 10^5 \text{ kJ} に対し、消費電力 22 kW22 \text{ kW} かつ総合効率 55%55\% の乾燥器が1時間あたりに発生する有効な熱出力が 4.356×104 kJ/h4.356 \times 10^4 \text{ kJ/h} となるため、これらを割り合わせることで乾燥に必要な時間が 14.0 時間と導かれ、選択肢の「14.0」が正答となります。

電気エネルギーと熱エネルギーの変換関係

電熱器の消費電力 [kW] と、それによって発生する熱量 [kJ] の間には、物理におけるエネルギー保存の法則が成り立ちます。電気エネルギーを熱エネルギーへ変換する電熱分野において、この法則は最も基本となる考え方です。

消費電力 PP [kW] とは、1秒間あたりに消費される電気エネルギーの大きさを表しています。ここで、1 W は 1 J/s(1秒間に1ジュールの仕事)と定義されているため、1 kW は 1 kJ/s(1秒間に1キロジュールの熱量)に相当します。

しかし、消費されたすべての電気エネルギーが、被加熱物の乾燥に有効に使われるわけではありません。乾燥器の壁面から外部へ逃げる熱損失などがあるため、実際に加熱や乾燥に寄与する有効な熱量は少なくなります。この有効に利用される割合を示すのが総合効率 η\eta です。

したがって、乾燥器から被加熱物に実際に伝わる有効な熱出力 PeffP_{\text{eff}} [kW] は、消費電力 PP に総合効率 η\eta を掛け合わせた次の式で表されます。

Peff=P×ηP_{\text{eff}} = P \times \eta

この熱出力を時間 tt 秒間にわたって加え続けたときに得られる有効な熱量 QQ [kJ] は、次の関係式で成り立ちます。

Q=P×η×tQ = P \times \eta \times t

実務や試験問題では、時間を秒 [s] ではなく時間 [h] の単位で扱うことが多いため、1時間が3600秒(60分×60秒60\text{分} \times 60\text{秒})である関係を用いて、時間単位の計算へ適切に換算する必要があります。

乾燥器の熱出力と乾燥時間の計算

1. 乾燥器が1秒間あたりに発生する有効な熱量の算出

乾燥器の消費電力 22 kW22 \text{ kW} と総合効率 55%55\% (0.550.55)を用いて、被加熱物の乾燥に有効に利用される1秒間あたりの熱出力を求めます。 Peff=22×0.55=12.1 kWP_{\text{eff}} = 22 \times 0.55 = 12.1 \text{ kW} 1 kW は 1 kJ/s であるため、この乾燥器は1秒間に 12.1 kJ12.1 \text{ kJ} の有効な熱エネルギーを発生させています。効率を掛けることで、消費電力そのものよりも実際に得られる熱量が小さくなる関係が維持されます。

2. 1時間あたりに供給される有効熱量の算出

求めたい時間の単位が [h] であるため、1秒あたりの熱出力を1時間(3600秒)あたりに換算します。 q=12.1 kJ/s×3600 s=43,560 kJ/hq = 12.1 \text{ kJ/s} \times 3600 \text{ s} = 43,560 \text{ kJ/h} これにより、乾燥器を1時間運転したときに乾燥室内に供給される有効な熱量は 43,560 kJ43,560 \text{ kJ} となります。

3. 乾燥完了に要する時間の算出

前段のプロセスにおいて、被加熱物を加熱し水分を蒸発させるために必要な全熱量は 6.1×105 kJ6.1 \times 10^5 \text{ kJ} (すなわち 610,000 kJ610,000 \text{ kJ})と求められています。この必要な全熱量を、乾燥器が1時間あたりに供給できる有効熱量 43,560 kJ/h43,560 \text{ kJ/h} で割ることで、乾燥に要する時間 tt [h] を導きます。 t=610,00043,560≈14.004 ht = \frac{610,000}{43,560} \approx 14.004 \text{ h} この計算結果から、乾燥に要する時間は約 14.0 時間となります。総合効率を掛け忘れて消費電力の 22 kW22 \text{ kW} のまま計算を進めてしまうと、本来よりも短い時間(約 7.7 時間)が算出されてしまうため、エネルギー保存のプロセスにおいて効率を正しく適用することが不可欠です。

乾燥器の消費電力や総合効率の数値と、乾燥に必要な膨大な熱量の値を重ねてみると、限られた電気エネルギーが時間とともに熱へと姿を変えて水分を追い出していくプロセスの長さが見えてきます。

参考リンク

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