直流発電機における誘導起電力の算出
図の状態における1巻きのコイルに誘導される起電力eの値は15.7Vです。これは、磁束密度、導体の有効長、電機子の回転速度、および電機子直径から、ファラデーの電磁誘導の法則およびローレンツ力を考慮して算出されます。
電磁誘導の基本原理
直流発電機において、電機子巻線に起電力が誘導されるのは、導体が磁場中を運動することで、導体中にローレンツ力が発生し、電荷の移動を引き起こすためです。この現象は、ファラデーの電磁誘導の法則とローレンツ力の法則によって説明されます。
- ファラデーの電磁誘導の法則: 閉回路を貫く磁束が変化するとき、その回路に起電力が誘導されるという法則です。誘導起電力の大きさは、磁束の変化率に比例します。
- ローレンツ力の法則: 磁場中を運動する電荷(または電流が流れる導体)が受ける力は、磁場の強さ、電荷(または電流)の大きさ、および導体の速度(または電荷の速度)の積に比例し、その方向はこれらのベクトルに垂直であるという法則です。
直流発電機においては、導体が回転することによって磁束を横切るため、導体内に起電力が誘導されます。
誘導起電力の計算
この問題では、1巻きのコイルに誘導される起電力を計算します。誘導起電力eは、以下の式で表されます。
e=Blv
ここで、
- Bは磁束密度[T]
- lは導体の有効長[m]
- vは導体の速度[m/s]
導体の速度vは、電機子の回転速度nと電機子の直径Dから求めることができます。電機子の円周速度は、以下の式で与えられます。
v=60πDn
ここで、nは回転速度[min⁻¹]であり、60で割ることで毎秒あたりの回転数(Hz)に換算し、周長πDを掛けることで線速度を求めています。
設問の条件による判断
設問の条件は以下の通りです。
- 磁束密度 B=0.4 T
- 導体の有効長 l=0.5 m
- 電機子直径 D=0.5 m
- 回転速度 n=1 500 min⁻¹
これらの値を、前述の式に代入して計算します。
ステップ1: 電機子導体の速度vを計算します。
v=60 s/minπ×0.5 m×1 500 min⁻¹
v=60π×0.5×1 500 m/s
v=60375π m/s
v=6.25π m/s
ステップ2: 1巻きのコイルに誘導される起電力eを計算します。
e=Blv
e=0.4 T×0.5 m×(6.25π m/s)
e=0.2×6.25π V
e=1.25π V
π≈3.14159として計算すると、
e≈1.25×3.14159 V
e≈3.9269875 V
ここで、計算の過程で、1巻きのコイルに誘導される起電力の単純な計算式 e=Blv を適用しましたが、直流発電機の構造を考慮すると、より正確には、導体要素が磁束を横切る平均速度や、巻線の配置などを考慮する必要があります。しかし、この問題では、図の状態のように電機子導体が磁極の中心付近にあるとき、簡略化されたモデルで起電力を計算することが意図されていると考えられます。
改めて、誘導起電力の計算式 e=Blv に、導体の円周速度 v=ωr を用いて計算してみます。ここで、ωは角速度[rad/s]、rは半径[m]です。
角速度ω=602πn=602π×1 500=50π rad/s
半径r=D/2=0.5 m/2=0.25 m
v=ωr=50π×0.25=12.5π m/s
e=Blv=0.4 T×0.5 m×12.5π m/s=0.2×12.5π V=2.5π V
e≈2.5×3.14159 V≈7.85 V
この値は選択肢(3)と一致しますが、正解は(4)の15.7Vです。
問題文では「1巻き分のコイル」とありますが、直流発電機では一般的に、コイルは複数ターンで構成され、それらが直列に接続されることで大きな起電力が得られます。また、1巻きのコイルは、実際には2つの導体(コイル辺)で構成され、それぞれが起電力を生じます。
ここで、1つのコイル辺が受ける起電力は eside=Blv であり、1つのコイル(2辺で構成される)全体で誘導される起電力は、これらの起電力の合計となります。一般的に、電機子巻線では、コイル辺は回転子と固定子の間に配置され、磁極の極性や磁束分布によって誘導される起電力の向きが決まります。
直流発電機における誘導起電力の一般的な計算式として、以下のものが用いられます。
E=60APϕZn
ここで、Pは極数、Zは電機子導体総数、Aは並列回路数、ϕは1極あたりの磁束です。
しかし、この問題は「1巻き分のコイル」に誘導される起電力を問うています。
図の状態のように電機子導体が磁極の中心付近にあるとき、導体は最大磁束密度を横切っていると考えられます。
もし、1巻きのコイルが、半径rの円周上を移動する導体であり、その導体長がl、磁束密度がBであるとすると、1巻きのコイル全体が受ける起電力は、2つの導体辺で発生する起電力が合成されることになります。
1つの導体辺が受ける起電力 eside=Blv です。
コイルの2辺が直列につながっていると考えると、1巻きあたりの起電力は e=2×Blv′ となります。ここで v′は、コイル辺の平均速度となります。
ここで、問題文の「1巻き分のコイル」が、図に示されているように、1つのループを形成する導体と解釈し、そのループの有効長がlであるとします。このコイルの円周方向の速度をvとすると、各導体辺が磁束を横切る速度がvとなります。
電機子直径D=0.5m、回転速度n=1500min−1より、導体の速度v=60πDn=60π×0.5×1500=12.5π m/sです。
1つの導体辺に誘導される起電力は eside=Blv=0.4 T×0.5 m×12.5π m/s=2.5π Vです。
もし、1巻きのコイルが2つの導体辺で構成され、それらが直列に接続されている場合、1巻きあたりの起電力は、2つの導体辺で誘導される起電力の合計となり、 e=2×eside となります。
e=2×2.5π V=5π V
e≈5×3.14159 V≈15.70795 V
この計算結果は、選択肢(4)の15.7Vに非常に近くなります。
したがって、この問題における「1巻き分のコイル」とは、2つの導体辺で構成され、それらが直列に接続された1つのコイルを指していると解釈するのが妥当です。
ステップ1: 電機子導体の円周方向の速度vを計算します。
v=60πDn
v=60 s/minπ×0.5 m×1 500 min⁻¹
v=12.5π m/s
ステップ2: 1つの導体辺に誘導される起電力esideを計算します。
eside=Blv
eside=0.4 T×0.5 m×12.5π m/s
eside=2.5π V
ステップ3: 1巻きのコイル(2つの導体辺から成る)に誘導される起電力eを計算します。
e=2×eside
e=2×2.5π V
e=5π V
ステップ4: 数値計算を行い、選択肢と比較します。
e≈5×3.14159 V
e≈15.70795 V
この値は選択肢(4) 15.7Vに最も近いため、正解は(4)となります。
図に示された電機子導体が磁極の中心付近にあるという条件は、導体が最大磁束密度を横切っている状態を示しており、この瞬間に誘導される起電力の大きさを計算する上での前提となります。
参考リンク