第三種電気主任技術者試験 / 令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 / 各問題解説 / 問30
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令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 問30 解説 問3

問3 次の文章は,誘導電動機の速度制御に関する記述である。 電源周波数 $f$ を変えて速度を制御する方式の一つに [ (ア) ] 一定制御がある。これは,$f$ を変化させたときに [ (イ) ] の強さを一定に保つように入力電圧 $V$ も変化させる方式であり,二次抵抗制御方式と比べて効率が高いので小容量機から大容量機まで広く用いられてきた。周波数の可変装置には [ (ウ) ] 電源装置やサイクロコンバータなどがある。 [ (ア) ] 一定制御には低速回転時に回転速度や負荷トルクが急変した直後の速度を正確に制御できないという課題があり,この点を改善した速度制御法として [ (エ) ] 制御がある。[ (エ) ] 制御は,速度とトルクを精密に制御でき,始動トルクが [ (オ) ] ,負荷変動の大きなクレーンや工作機械などに用いられる。 上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして,最も適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

  1. (ア) $V/f$ , (イ) 回転磁界 , (ウ) VVVF , (エ) ベクトル , (オ) 大きく ✓ 正答
  2. (ア) $V/f$ , (イ) 回転電界 , (ウ) CVCF , (エ) ベクトル , (オ) 小さく
  3. (ア) $V \cdot f$ , (イ) 回転磁界 , (ウ) VVVF , (エ) ベクトル , (オ) 小さく
  4. (ア) $V \cdot f$ , (イ) 回転電界 , (ウ) CVCF , (エ) スカラー , (オ) 大きく
  5. (ア) $V/f$ , (イ) 回転磁界 , (ウ) CVCF , (エ) スカラー , (オ) 小さく

解説

正解は (ア) V/fV/f , (イ) 回転磁界 , (ウ) VVVF , (エ) ベクトル , (オ) 大きく です。

V/fV/f 一定制御とベクトル制御の原理

誘導電動機の速度制御は、主に印加電圧や周波数を変化させることで行われます。

1. V/fV/f 一定制御 誘導電動機の回転速度は、電源周波数 ff と電動機にかかる電圧 VV の比率、すなわち V/fV/f によってほぼ決まります。この関係は、電動機内部の磁束の強さと密接に関係しています。

  • 回転磁界: 誘導電動機は、固定子に交流電流を流すことで回転磁界を発生させ、この回転磁界が回転子を駆動します。回転磁界の速さは、電源周波数 ff に比例します。
  • 磁束の一定化: 電動機のトルクは、磁束の強さと二次電流の積に比例します。 V/fV/f を一定に保つことで、回転磁界の強さ(およびそれに伴う磁束の強さ)を一定に保つことができます。これにより、周波数を変化させても、トルクをほぼ一定に保ちながら速度を制御することが可能になります。
  • 効率: 二次抵抗制御方式では、二次回路に抵抗を挿入して電流を制限し、トルクを制御しますが、この際に抵抗で電力損失が生じ、効率が低下します。一方、V/fV/f 一定制御では、インバータなどの周波数可変装置を用いて入力電圧と周波数を同時に制御するため、電力損失が少なく、効率が高いのが特長です。
  • 周波数可変装置: V/fV/f 一定制御を実現するためには、出力電圧と周波数を任意に変化させることができる装置が必要です。代表的なものに、インバータの一種であるVVVF(Variable Voltage Variable Frequency)インバータや、サイクロコンバータがあります。VVVFインバータは、一般的に広範囲な周波数制御が可能であり、小容量から大容量まで広く用いられています。

2. V/fV/f 一定制御の課題とベクトル制御 V/fV/f 一定制御は、比較的単純な制御方法ですが、低速回転時や負荷の急変時には、正確な速度制御やトルク制御が難しいという課題があります。特に、始動時のトルクが小さくなる傾向があり、急激な負荷変動に対応しにくい場合があります。

これらの課題を改善したのがベクトル制御です。

  • ベクトル制御: ベクトル制御は、電動機の磁束ベクトルとトルクベクトルを独立に制御する高度な制御方法です。三相交流の回転磁界を、直交する2つの成分(d軸とq軸)に分解し、それぞれを独立に制御することで、あたかも直流電動機のように、トルクと磁束を精密に制御します。
  • 始動トルク: ベクトル制御では、始動時に大きなトルクを発生させることができます。これは、制御アルゴリズムによって、低速域でも十分な磁束を確保し、かつトルクを最大化するように電流を制御できるためです。
  • 用途: 高い応答性、精密な速度制御、大きな始動トルクが求められるクレーン、エレベーター、工作機械、産業用ロボットなどに広く用いられています。

空白箇所の特定

上記の説明を踏まえると、文章中の空白箇所は以下のように特定できます。

  • (ア) 電源周波数 ff を変えて速度を制御する方式の一つに V/fV/f 一定制御がある。 これは、誘導電動機の回転速度が V/fV/f の比率にほぼ比例することから、速度制御の基本原理として広く知られているため。
  • (イ) これは,ff を変化させたときに 回転磁界 の強さを一定に保つように入力電圧 VV も変化させる方式であり V/fV/f を一定に保つことで、電動機内部の磁束の強さ、ひいては回転磁界の強さを一定に保ち、トルクを一定に保とうとするため。
  • (ウ) 周波数の可変装置には VVVF 電源装置やサイクロコンバータなどがある。 V/fV/f 一定制御を実現する代表的な周波数変換装置として、VVVFインバータが挙げられるため。CVCF(Constant Voltage Constant Frequency)は定電圧定周波数を意味し、周波数可変制御とは異なる。
  • (エ) V/fV/f 一定制御には低速回転時に回転速度や負荷トルクが急変した直後の速度を正確に制御できないという課題があり,この点を改善した速度制御法として ベクトル 制御がある。 V/fV/f 一定制御の限界を克服し、より精密な制御を実現する方式としてベクトル制御が開発されたため。
  • (オ) ベクトル 制御は,速度とトルクを精密に制御でき,始動トルクが 大きく ,負荷変動の大きなクレーンや工作機械などに用いられる。 ベクトル制御の特長として、高い始動トルクが挙げられるため。

したがって、これらの空白箇所に当てはまる最も適切な組合せは (ア) V/fV/f , (イ) 回転磁界 , (ウ) VVVF , (エ) ベクトル , (オ) 大きく です。

参考リンク

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