第三種電気主任技術者試験 / 令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 / 各問題解説 / 問40
certification-simodake-work

令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 問40 解説 問4

問4 定格周波数 $50\text{ Hz}$, $6$ 極のかご形三相誘導電動機があり,トルク $200\text{ N}\cdot\text{m}$,機械出力 $20\text{ kW}$ で定格運転している。このときの二次入力(同期ワット)の値 $[\text{kW}]$ として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし,機械損は無視するものとする。

  1. 19
  2. 20
  3. 21 ✓ 正答
  4. 25
  5. 27

解説

定格周波数 50 Hz50\text{ Hz} かつ 66 極の条件から決まる回転磁界の同期角速度に、発生しているトルク 200 N⋅m200\text{ N}\cdot\text{m} を掛け合わせると二次入力(同期ワット)は約 20.9 kW20.9\text{ kW} と算出されるため、最も近い選択肢は 21 です。

誘導電動機における二次入力と同期ワットの原理

三相誘導電動機の固定子巻線に三相交流電圧を加えると、内部に一定の強さで回転する磁界が発生します。この回転磁界の回転速度を同期速度 Ns[min−1]N_s [\text{min}^{-1}] と呼び、電源周波数 f[Hz]f [\text{Hz}] と極数 pp によって次のように定まります。

Ns=120fpN_s = \frac{120 f}{p}

この同期速度 NsN_s を毎秒の回転数に直し、角速度に変換したものを同期角速度 ωs[rad/s]\omega_s [\text{rad/s}] と呼びます。

固定子側から回転子側へ電磁誘導を介して伝達される電気的なパワー(電力)を二次入力 P2[W]P_2 [\text{W}] と呼びます。エネルギー保存の法則に基づき、固定子側から回転子に供給された電力は、回転子を回転させる機械的な出力 P[W]P [\text{W}] と、回転子巻線の抵抗で消費される二次銅損 Pc2[W]P_{c2} [\text{W}] に分配されます。

二次入力 P2P_2 は、回転磁界が回転子を押すトルク T[N⋅m]T [\text{N}\cdot\text{m}] と回転磁界自体の同期角速度 ωs[rad/s]\omega_s [\text{rad/s}] の積で表すことができます。この関係は次のように表現されます。

P2=T⋅ωsP_2 = T \cdot \omega_s

トルクと同期角速度の積で計算される二次入力は、トルクを電力の単位(ワット)に直接換算して扱えるため「同期ワット」と呼ばれます。回転子の実際の回転角速度 ω[rad/s]\omega [\text{rad/s}] を用いた機械出力 P=T⋅ωP = T \cdot \omega と異なり、二次入力は回転磁界の速度基準で評価される点が重要です。

誘導電動機の同期角速度と二次入力の算出過程

  1. 固定子が発生させる回転磁界の同期速度および同期角速度を求めます。 電源周波数 f=50 Hzf = 50\text{ Hz}、極数 p=6p = 6 であるため、同期速度 NsN_s は次のようになります。 Ns=120×506=1000 min−1N_s = \frac{120 \times 50}{6} = 1000\text{ min}^{-1} これを毎秒の回転数に換算すると 100060=503 s−1\frac{1000}{60} = \frac{50}{3}\text{ s}^{-1} となるため、同期角速度 ωs\omega_s は次の通り計算できます。 ωs=2π×503=100π3 rad/s\omega_s = 2 \pi \times \frac{50}{3} = \frac{100 \pi}{3}\text{ rad/s}

  2. 同期角速度と与えられたトルクの値から二次入力(同期ワット)を計算します。 発生トルク T=200 N⋅mT = 200\text{ N}\cdot\text{m} であるため、二次入力 P2P_2 は次の式で求まります。 P2=T⋅ωs=200×100π3=20000π3 WP_2 = T \cdot \omega_s = 200 \times \frac{100 \pi}{3} = \frac{20000 \pi}{3}\text{ W} 円周率 π≈3.14159\pi \approx 3.14159 を代入して値を計算します。 P2≈20000×3.141593≈20944 W=20.944 kWP_2 \approx \frac{20000 \times 3.14159}{3} \approx 20944\text{ W} = 20.944\text{ kW}

  3. 求められた数値と選択肢の値を照合します。 算出した二次入力 20.944 kW20.944\text{ kW} に最も近い選択肢の数値は 21 です。なお、問題文にある機械出力 20 kW20\text{ kW} は実際の回転速度で得られる機械的パワーであり、二次銅損(約 0.94 kW0.94\text{ kW})を含まない後の値です。二次入力を求める際に機械出力をそのまま選んで 20 とすると、二次銅損による損失分を無視することになります。

定格周波数と極数から決まる回転磁界のスピードと、回転子に働くトルクの数値を重ねてみると、磁界を介して送り込まれるパワーの大きさが浮かび上がってきます。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう