第三種電気主任技術者試験 / 令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 / 各問題解説 / 問60
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令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 問60 解説 問6

設問図

二つの同期発電機 A と B を図に示すように平衡した三相交流の母線に接続し並行運転するとき,両発電機の起電力 $\dot{E}_1$ と $\dot{E}_2$ が等しくなるように発電機の速度および界磁電流が調整される。起電力 $\dot{E}_1$ と $\dot{E}_2$ に差がある場合,両発電機間には横流と呼ばれる循環電流が流れ,損失増加の一要因となる。発電機 A と B は同一仕様で同一特性を持ち,同一速度で回転している。定格電圧 $V_{\text{n}}$ は $6\ 000\text{ V}$,定格容量 $P$ は $4\ 500\text{ kV}\cdot\text{A}$,短絡比 $S$ は $1.25$ である。$\dot{E}_1$ と $\dot{E}_2$ の差が $\lvert\dot{E}_1 - \dot{E}_2\rvert = 400\text{ V}$ であるとき,横流の実効値 $\text{[A]}$ として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 18.0
  2. 31.3 ✓ 正答
  3. 54.1
  4. 62.5
  5. 108

解説

定格電圧 6 000 V6\ 000\text{ V},定格容量 4 500 kV⋅A4\ 500\text{ kV}\cdot\text{A},短絡比 1.251.25 から導かれる1相あたりの同期リアクタンス 6.4 Ω6.4\ \Omega に対し,2台の同一発電機が構成する閉回路には両機の同期リアクタンスの和 12.8 Ω12.8\ \Omega が直列に作用するため,相起電力差 400 V400\text{ V} をこの合成リアクタンスで除した 31.3 A31.3\text{ A} が正答となります。

同期発電機の短絡比と横流の発生原理

同期発電機を並行運転する際、両発電機の起電力の大きさに差があると、その電圧差によって発電機間を巡回する横流(無効横流)が発生します。図の結線に示すように、一方の発電機から送出された電流は母線を経由して他方の発電機へ流れ込み、一相あたり2台分の内部インピーダンスを通る閉回路を形成します。同期発電機では巻線の抵抗成分に比べて内部の磁気的な反応である同期リアクタンスが十分に大きいため、内部インピーダンスはほぼ同期リアクタンスとして扱われます。

この同期リアクタンスの大きさを決定づける指標が短絡比です。短絡比 SS とは、無負荷で定格電圧を発生させる界磁電流と、三相短絡時に定格電流を流す界磁電流の比であり、単位法における同期リアクタンス xs [p.u.]x_{\text{s}}\text{ [p.u.]} との間には逆数の関係 S=1xsS = \frac{1}{x_{\text{s}}} が成立します。回路に加わる電圧と流れる電流の関係を定める基本的な電気法則であるオームの法則に基づき、1相あたりの起電力差を回路全体の同期リアクタンスで割ることで、発電機間を流れる横流の実効値を導き出すことができます。

同期発電機間を流れる横流の算出

  1. 定格電流の算出 定格容量 P=4 500 kV⋅AP = 4\ 500\text{ kV}\cdot\text{A} および定格線間電圧 Vn=6 000 VV_{\text{n}} = 6\ 000\text{ V} より、発電機の1相に流れる定格電流 In [A]I_{\text{n}}\text{ [A]} は、三相電力の公式 P=3VnInP = \sqrt{3} V_{\text{n}} I_{\text{n}} から導かれます。 In=P3Vn=4 500×1033×6 000≈433.01 AI_{\text{n}} = \frac{P}{\sqrt{3} V_{\text{n}}} = \frac{4\ 500 \times 10^3}{\sqrt{3} \times 6\ 000} \approx 433.01\text{ A}

  2. 1相あたりの定格インピーダンスと同期リアクタンスの算出 1相あたりの定格相電圧は Vn3=6 0003 V\frac{V_{\text{n}}}{\sqrt{3}} = \frac{6\ 000}{\sqrt{3}}\text{ V} であり、定格インピーダンス Zn [\Omega]Z_{\text{n}}\text{ [\Omega]} は Vn/3In=6 000/3433.01=8.0 Ω\frac{V_{\text{n}} / \sqrt{3}}{I_{\text{n}}} = \frac{6\ 000 / \sqrt{3}}{433.01} = 8.0\ \Omega となります。短絡比 S=1.25S = 1.25 から、単位法による同期リアクタンスは xs=11.25=0.8 p.u.x_{\text{s}} = \frac{1}{1.25} = 0.8\text{ p.u.} となるため、1相あたりの同期リアクタンスの実数値 Xs [\Omega]X_{\text{s}}\text{ [\Omega]} は定格インピーダンスに乗じて算出されます。 Xs=Zn×xs=8.0×0.8=6.4 ΩX_{\text{s}} = Z_{\text{n}} \times x_{\text{s}} = 8.0 \times 0.8 = 6.4\ \Omega

  3. 横流が流れる閉回路の合成インピーダンスの算出 発電機AとBは同一仕様であり、それぞれの1相あたりの同期リアクタンスは Xs=6.4 ΩX_{\text{s}} = 6.4\ \Omega です。両機の間で横流が流れる1相分の閉回路には、発電機Aの内部リアクタンスと発電機Bの内部リアクタンスが直列に接続されるため、閉回路の合成同期リアクタンス Xtotal [\Omega]X_{\text{total}}\text{ [\Omega]} は2台分の和になります。 Xtotal=Xs+Xs=2Xs=2×6.4=12.8 ΩX_{\text{total}} = X_{\text{s}} + X_{\text{s}} = 2 X_{\text{s}} = 2 \times 6.4 = 12.8\ \Omega 単体のリアクタンス 6.4 Ω6.4\ \Omega だけを用いて計算すると、回路の抵抗成分を半分とみなしたことになり電流が2倍に誤評価されます。

  4. 横流の実効値の算出 図において E˙1\dot{E}_1 と E˙2\dot{E}_2 は各相の起電力(相電圧)を示しており、その差 ∣E˙1−E˙2∣=400 V\lvert\dot{E}_1 - \dot{E}_2\rvert = 400\text{ V} が閉回路に加わる駆動電圧となります。オームの法則より、横流の実効値 Ic [A]I_{\text{c}}\text{ [A]} は起電力差を閉回路の合成リアクタンスで除して求まります。 Ic=∣E˙1−E˙2∣2Xs=40012.8=31.25 AI_{\text{c}} = \frac{\lvert\dot{E}_1 - \dot{E}_2\rvert}{2 X_{\text{s}}} = \frac{400}{12.8} = 31.25\text{ A} この計算値に最も近い値は 31.3 A31.3\text{ A} です。

図に描かれたY結線の1相分の起電力矢印と、2台の発電機をループ状に巡る電流の経路を重ねてみると、電圧差の駆動によって同期リアクタンス2台分を通過する横流の姿が見えてきます。

参考リンク

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