令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 問20 解説 問2 問2
問2 ある地域の面積が 6 500 km², 平均海抜 750 m で, この地域の年間降水量を 1 100 mm としたとき, この地域全体での理論的包蔵水力(電力量換算値[TW・h])として最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし, 包蔵水力の計算において, その地域の水の流出係数を 1 とする。
- 1.7
- 6.0
- 30
- 150
- 15 ✓ 正答
解説
地域面積6 500 km²に年間降水量1 100 mmが降り注ぐ全水量を、平均海抜750 mから海面へ落下させる際のエネルギーを位置エネルギーの公式から算出し、単位をテラワット時(TW・h)に換算することで、正答の15が得られます。
理論水力と位置エネルギーの法則
理論水力とは、ある地点からある地点まで水が移動する際、その高低差を利用して取り出せるエネルギーの総量です。物理学における「位置エネルギーの原理」に基づき、質量、重力加速度、高低差の積として求められます。本問では、年間を通して降った雨水がすべて海抜0 mまで流れ落ちることを想定し、その総エネルギー量を時間あたりの電力供給能力である「電力量」に置き換えて計算します。
理論水力の算出プロセス
年間の総水量を算出します。面積 6 500 km²(6 500 × 10^6 m²)に年間 1 100 mm(1.1 m)の雨が降るため、総水量 となります。水の密度を 1 000 kg/m³ とすると、水の総質量 は です。
総位置エネルギーをジュール(J)単位で求めます。重力加速度を 、平均海抜(高低差)を とすると、エネルギー は となります。
ジュールの単位をワット時(W・h)に換算します。1 W・h は 3 600 J であるため、 です。
単位をテラワット時(TW・h)に揃えます。1 TW・h は 10^12 W・h なので、 となり、最も近い値として 15 が導かれます。
地域面積と年間降水量から得られる水の体積に、平均海抜という高さの情報を重ねてみると、この広大な大地に秘められたエネルギーの総量が見えてきます。