第三種電気主任技術者試験 / 令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 / 各問題解説 / 問30
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令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 問30 解説 問3 問3 次の文章は、火力発電所の復水器に関する記述である。火力発電所の復水器は、蒸気タービンの排気を冷却水で冷やし、排気を(ア)させて水に戻し、復水を回収する装置である。内部の(イ)を保持することで、タービンの入口蒸気と出口蒸気の(ウ)を大きくし、蒸気タービンの(エ)を高めている。

問3 上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. (1) 凝縮 真空度 圧力差 効率 ✓ 正答
  2. (2) 凝縮 真空度 圧力差 回転速度
  3. (3) 膨張 温度 温度差 回転速度
  4. (4) 凝縮 温度 温度差 効率
  5. (5) 膨張 真空度 温度差 回転速度

解説

この問題は、蒸気タービン発電設備における復水器の機能と、それがタービンの性能および発電設備全体の効率に与える影響について問うものです。タービン排気蒸気の(ア)凝縮により復水器内の(イ)真空度が高まり、タービン前後の(ウ)圧力差が増大することで、タービンがより多くの仕事を取り出し、発電設備の(エ)効率が向上するため、正答は(1)となります。

復水器の役割と蒸気タービンサイクルの原理

蒸気タービン発電設備は、燃料を燃焼させて蒸気を作り、その蒸気でタービンを回転させて発電するシステムです。タービンで仕事をした後の蒸気は、通常、復水器と呼ばれる装置に送られます。復水器の主な役割は、タービンからの排気蒸気を冷却して水(復水)に戻すことです。

凝縮と体積変化: 蒸気が水に変わる現象を凝縮と呼びます。この凝縮は、蒸気タービンサイクルの効率を大きく左右する重要なプロセスです。水蒸気は、液体である水に比べて極めて大きな体積を持ちます。例えば、大気圧下で1kgの飽和蒸気は約1.67m³の体積を持ちますが、これが凝縮して1kgの飽和水になると、体積は約0.001m³と約1/1670にまで減少します。

真空度と圧力: 復水器は密閉された空間であり、その中で蒸気が凝縮して体積が大きく減少すると、復水器内の圧力が著しく低下します。この圧力が大気圧よりも低い状態を真空といい、その低さの度合いを真空度と表現します。復水器内では、蒸気タービンの排気圧力を可能な限り低く保つことで、真空度が高められます。

タービンの仕事量と圧力差: 蒸気タービンは、高温高圧の蒸気が持つエネルギー(主にエンタルピー)を、タービンの回転運動という機械的エネルギーに変換して仕事を取り出す装置です。タービンが取り出す仕事量は、タービンの入口側と出口側の蒸気の圧力差が大きいほど増大します。これは、蒸気がより低い圧力まで膨張することで、より多くのエネルギーをタービンに与えることができるためです。熱力学の基本原理の一つである**熱力学第一法則(エネルギー保存の法則)**に則り、蒸気の持つエンタルピーが減少する分だけ、タービンは仕事をします。

発電設備の効率: 発電設備の効率とは、燃料が持つエネルギーに対して、実際にどれだけの電気エネルギーを取り出せるかを示す指標です。タービンから取り出せる仕事量が増えれば、同じ量の燃料消費でより多くの電力を発電できるため、発電設備全体の熱効率が向上します。

空白箇所の判断ステップ

上記の原理を踏まえて、問題文の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる語句を順に判断していきます。

  1. (ア)の判断:凝縮

    • 復水器の最も基本的な機能は、タービンで仕事をした後の蒸気を水に戻すことです。蒸気が液体に相変化する現象は「凝縮」であるため、(ア)には「凝縮」が入ります。選択肢(3)と(5)の「膨張」はタービン内部で蒸気が仕事をする過程で起こる現象であり、復水器の機能ではありません。
  2. (イ)の判断:真空度

    • 復水器内で蒸気が凝縮すると、その体積は劇的に小さくなります。密閉された空間で気体の体積が減少すると、その空間の圧力が低下します。この圧力が大気圧よりも低い状態、つまり「真空度」が高まることになります。選択肢(3)と(4)の「温度」は凝縮に伴い低下しますが、直接的に「高まる」とは表現されず、またタービンの駆動力を直接的に決定する要因としては圧力の変化が重要です。
  3. (ウ)の判断:圧力差

    • 蒸気タービンは、入口と出口の圧力差を利用して仕事を取り出します。復水器内で圧力が低下し、高い真空度が得られることで、タービン入口の高圧蒸気と出口の低圧(真空に近い)蒸気との間に「圧力差」が大きく生じます。この大きな圧力差が、タービンからより多くの仕事を取り出すための駆動力となります。選択肢(3)と(4)の「温度差」も仕事に関係しますが、直接的な駆動力として言及されるのは「圧力差」です。
  4. (エ)の判断:効率

    • タービンからより多くの仕事を取り出せるということは、同じ量の燃料を使ってより多くの電気エネルギーを生成できることを意味します。これは発電設備全体の性能を表す「効率」の向上に直結します。選択肢(2)と(3)の「回転速度」はタービンの運転条件の一つですが、直接的な性能指標としては「効率」が適切です。

これらの判断から、(ア)には「凝縮」、(イ)には「真空度」、(ウ)には「圧力差」、(エ)には「効率」が当てはまるため、正答は(1)となります。

復水器内の圧力が蒸気タービンの出力にどう影響するか、その仕組みと熱効率の関係を重ねてみると、発電プラント全体のパフォーマンスが見えてきます。

参考リンク

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