第三種電気主任技術者試験 / 令和8年度 上期 第3種 理論 / 各問題解説 / 問110
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令和8年度 上期 第3種 理論 問110 解説 問11

次の文章は,不純物半導体に関する記述である。価電子が (ア) 個のシリコン (Si) をきわめて高い純度に精製した真性半導体に,価電子が (イ) 個のホウ素 (B) などを不純物としてわずかに加えることによって (ウ) 形半導体がつくれる。このとき加えた不純物を (エ) という。

  1. (1) 4 5 n ドナー
  2. (2) 4 3 p アクセプタ ✓ 正答
  3. (3) 5 4 n アクセプタ
  4. (4) 4 3 p ドナー
  5. (5) 5 4 p アクセプタ

解説

価電子が4個のシリコン(Si)に、価電子が3個のホウ素(B)を不純物として加えることで正孔(ホール)が多数キャリアとなるp形半導体がつくられ、このホウ素はアクセプタ不純物と呼ばれるため、空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして選択肢(2)が正しいです。

半導体の基本と不純物添加の原理

半導体は、電気を導く導体と、電気を通さない絶縁体の中間的な性質を持つ物質です。特にシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)は代表的な半導体材料として知られています。 これらの半導体は、きわめて純度が高い状態では電気をほとんど流しませんが、意図的に微量の不純物を加えることで電気的な性質を大きく変化させることができます。この不純物を加える操作を「ドーピング」といい、ドーピングによって作られた半導体を「不純物半導体」と呼びます。

真性半導体(シリコン)の構造

シリコン原子は、最外殻に4つの価電子を持っています。結晶構造においては、それぞれのシリコン原子が隣接する4つのシリコン原子と電子を共有し、「共有結合」を形成しています。このとき、各シリコン原子は安定な8個の電子を持つ状態(オクテット則を満たす状態)となり、すべての価電子が共有結合に用いられるため、自由に動き回れる電子がほとんどなく、電気を流しにくい性質(真性半導体)を示します。

p形半導体の生成とアクセプタ不純物

真性半導体であるシリコンに、価電子が3個の不純物原子(ホウ素B、アルミニウムAl、ガリウムGaなど、13族元素)をわずかに加えると、その電気的性質は大きく変化します。 例えば、ホウ素原子がシリコン結晶の格子点に入り込むと、ホウ素原子は3つの価電子しか持たないため、周りの4つのシリコン原子との共有結合を完全に形成することができません。共有結合に必要な電子が1つ不足する場所が生じ、この電子の不足分を「正孔(ホール)」と呼びます。 この正孔は、周囲の共有結合から電子が飛び込んできて埋められると、元の電子がいた場所に新たな正孔が生成される、という形で結晶内を移動することができます。正孔は正の電荷を持つキャリアとして振る舞い、電流を流す役割を担います。 このように、正孔が多数キャリアとなって電気を流す半導体を「p形半導体(positive type semiconductor)」と呼びます。 p形半導体を作るために添加された不純物は、電子を「受け入れる(accept)」ことで正孔を生成するため、「アクセプタ不純物(acceptor impurity)」または「受容体不純物」と呼ばれます。

n形半導体(参考)

逆に、価電子が5個の不純物原子(リンP、ヒ素As、アンチモンSbなど、15族元素)をシリコンに加えると、共有結合に使われる4つの価電子のほかに1つの余分な電子が生じます。この余分な電子は結晶内を自由に動き回り、電流を運ぶキャリアとなります。自由電子が多数キャリアとなる半導体を「n形半導体(negative type semiconductor)」と呼び、この不純物は電子を「与える(donate)」ため、「ドナー不純物(donor impurity)」または「供与体不純物」と呼ばれます。

空白箇所への当てはめ

以上の半導体の基本的な知識に基づき、設問の空白箇所(ア)~(エ)を一つずつ特定します。

ステップ1: シリコンの価電子数の特定(ア)

シリコン(Si)は周期表の14族元素であり、その最外殻電子、すなわち価電子は4個です。

ステップ2: ホウ素の価電子数の特定(イ)

ホウ素(B)は周期表の13族元素であり、その最外殻電子、すなわち価電子は3個です。

ステップ3: 作られる半導体の種類の決定(ウ)

価電子が4個のシリコンに、価電子が3個のホウ素を不純物として加えると、共有結合に必要な電子が1個不足し、正孔(ホール)が生成されます。この正孔が多数の電荷キャリアとなるため、作られる半導体はp形半導体となります。

ステップ4: 不純物の名称の決定(エ)

p形半導体を作るために、電子を「受け入れる」ことで正孔を生成する不純物は、アクセプタと呼ばれます。

これらの結果をまとめると、(ア):4、(イ):3、(ウ):p、(エ):アクセプタとなり、これは選択肢(2)と一致します。

シリコン原子が作る安定した共有結合の中に、ホウ素原子が入り込んだ状況をイメージし、電子の不足がどのようにして正孔を生み出し、電流を流すキャリアとなるのかを重ねてみると、p形半導体の本質が見えてきます。

参考リンク

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