令和8年度 上期 第3種 理論 問161 解説 問16(a)
問 16 最大目盛 150 V,内部抵抗 18 kΩ の直流電圧計 V_1 と最大目盛 300 V,内部抵抗 30 kΩ の直流電圧計 V_2 の二つの直流電圧計がある。ただし,二つの直流電圧計は直動式指示電気計器を使用し,固有誤差はないものとする。次の (a) 及び (b) の問に答えよ。(a) 二つの直流電圧計を直列に接続して使用したとき,測定できる電圧の最大の値[V]として,最も近いものを次の (1)~(5) のうちから一つ選べ。
- (1) 450
- (2) 400 ✓ 正答
- (3) 300
- (4) 225
- (5) 150
解説
二つの直流電圧計 V₁ と V₂ を直列に接続した場合、各電圧計の最大目盛に達する電流の小さい方に全体の電流が制限されるため、測定できる電圧の最大の値は400 Vとなります。
電圧計の原理と直列回路の特性
この問題の判断の土台となるのは、電圧計の測定原理と直列回路の電気的特性です。
電圧計は、内部に持つ抵抗(内部抵抗)に電流が流れることで電圧を測定します。特定の電圧を印加したときに内部抵抗に流れる電流が、その電圧計の最大目盛に相当します。このときの電流を「最大目盛電流」または「定格電流」と呼びます。オームの法則により、電圧 、電流 、抵抗 の関係は で表されるため、電圧計の最大目盛電流は、最大目盛電圧を内部抵抗で割ることで計算できます ()。
複数の電気部品を直列に接続した回路では、以下の重要な特性があります。
- 回路のどこでも流れる電流は一定です。すべての部品に同じ大きさの電流が流れます。
- 全体の抵抗(合成抵抗)は、各部品の抵抗の和になります。
- 全体の電圧は、各部品にかかる電圧の和になります。
二つの電圧計を直列に接続して使用する場合、どちらか一方の電圧計でも最大目盛電流を超えてしまうと、その電圧計が損傷する可能性があります。そのため、二つの電圧計の最大目盛電流のうち、小さい方の電流が、全体の回路に流すことのできる最大電流となります。この最大電流と、直列接続した二つの電圧計の合成抵抗を用いて、オームの法則により測定できる最大の電圧を算出します。
測定できる最大電圧の判断
設問の条件と上記の原理・特性に基づいて、測定できる電圧の最大値を以下のステップで判断します。
各直流電圧計の最大目盛電流を計算します。
- 直流電圧計 V₁ は最大目盛 150 V、内部抵抗 18 kΩ です。 V₁ の最大目盛電流
- 直流電圧計 V₂ は最大目盛 300 V、内部抵抗 30 kΩ です。 V₂ の最大目盛電流
直列接続時の最大許容電流を決定します。
- 直列回路ではすべての箇所で同じ電流が流れるため、 と のうち小さい方の電流が、全体の回路に流せる最大電流となります。
- 、 なので、最大許容電流は となります。この電流が流れると、V₁ は最大目盛を示し、それ以上電流を流すことはできません。
直列接続時の合成抵抗を計算します。
- 直列回路の合成抵抗は各抵抗の和なので、 となります。
測定できる最大の電圧を計算します。
- オームの法則 を用いて、最大許容電流と合成抵抗から全体の最大電圧を求めます。
したがって、二つの直流電圧計を直列に接続して使用したとき、測定できる電圧の最大の値は 400 V となります。この値は選択肢(2)に合致します。単純に二つの電圧計の最大目盛電圧を足し合わせた 150 V + 300 V = 450 V ではない点に注意が必要です。各電圧計の最大目盛電流を考慮することで、直列接続時の真の測定限界が決定されます。
各電圧計の最大目盛電圧と内部抵抗の関係、そして直列回路の電流の流れ方を重ねてみると、全体の電圧限界が最も低い最大目盛電流で決まることが見えてきます。