平成24年度 筆記試験 問43 解説 高圧機器の機能
③で示す機器に関する記述で、正しいものは。
- イ. 過電圧になった時、電路を自動的に遮断する。
- ロ. 過負荷電流及び短絡電流を遮断できる。
- ハ. 過負荷電流は遮断できるが、短絡電流は遮断できない。
- ニ. 負荷電流を遮断してはならない。 ✓ 正答
解説
機器の役割を識別する
この問題は、高圧受電設備において「遮断器(CB)」と「断路器(DS)」の役割の決定的な違いを問うものです。 選択肢の中に「負荷電流を遮断してはならない」という記述があれば、それが断路器(DS)の特徴であることを直感的に見抜き、回答を選択します。
遮断器と断路器の決定的な違い
高圧受電設備において、回路の開閉を行う機器には主に遮断器(Circuit Breaker)と断路器(Disconnector)があります。
遮断器は、正常な負荷電流だけでなく、短絡電流や地絡電流といった非常に大きな事故電流を安全に遮断する能力を持っています。いわば、回路を完全に守るための防護装置です。
一方、断路器は、回路の点検や切り替えを行うために「無負荷状態」で回路を開閉するためのスイッチです。断路器には消弧装置(発生するアークを消す仕組み)がないため、もし負荷電流が流れている状態で開こうとすると、接点間に激しいアークが発生し、機器の損傷や作業者の感電事故につながる恐れがあります。そのため、「負荷電流を遮断してはならない」という原則が極めて重要視されます。
思考のステップ
問題文にある「③で示す機器」を特定する際、単線結線図を見て以下の点を確認します。
- 遮断器(CB)は、過負荷や短絡を検知して遮断できるか。
- 断路器(DS)は、単に回路を物理的に切り離すためのものか。
今回の設問では、「負荷電流を遮断してはならない」という選択肢が、断路器の最も重要な注意点として定義されています。他の選択肢である「過負荷電流や短絡電流を遮断できる」といった性能は遮断器のものであるため、消去法で考えても、断路器に関する記述として唯一成立するのが「ニ」であると判断できます。
実務における安全管理
この知識は、現場での操作順序を決定するために必須です。 高圧回路を切り離す際には、必ず「先に遮断器で電流を遮断し、その後に断路器を開く」という手順を踏みます。逆に投入する際は、「先に断路器を閉じてから、遮断器を投入する」のが鉄則です。
この操作順序を守らないと、断路器で負荷電流を遮断してしまったり、あるいは投入時にアークによる火災を招いたりするリスクがあります。試験においても、単に記号を覚えるだけでなく、「なぜ開閉の順序が決められているのか」という背景を理解しておくことで、応用問題にも対応できるようになります。