第一種電気工事士試験 / 平成26年度 上期 学科試験 / 問30
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平成26年度 上期 学科試験 問30 解説 高圧引込ケーブルの施工

設問図

①に示す高圧引込ケーブルに関する施工 方法等で、不適切なものは。

  1. イ. ケーブルには、トリプレックス形6600V架橋ポリエチレン絶縁ビニル シースケーブルを使用して施工した。
  2. ロ. 施設場所が重汚損を受けるおそれのある塩害地区なので、屋外部分の 終端処理はゴムと管形屋外終端処理とした。 ✓ 正答
  3. ハ. 電線の太さは、受電する電流、短時間耐電流などを考慮し、電気事業者と 協議して選定した。
  4. ニ. ケーブルの引込口は、水の浸入を防止するためケーブルの太さ、種類 に適合した防水処理を施した。

解説

この問題は、高圧ケーブルの屋外終端処理における環境条件と技術基準の適合性を問うものです。重汚損地域(塩害地区)では、表面の漏れ電流によるトラッキング現象や閃絡事故を防ぐために高い絶縁性能が求められます。選択肢ロにある「ゴムと管形」は一般的な場所には用いられますが、重汚損地域においては碍管形(がいかんがた)終端接続箱のような、より耐候性と絶縁距離に優れた仕様を選定する必要があるため、これが誤りとなります。

高圧引込ケーブルの選定と環境特性

高圧引込において、ケーブル自体は「トリプレックス形6600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CVTケーブル)」が広く用いられます。これは機械的強度と絶縁性能のバランスに優れているためです。

一方で、ケーブルの「終端」部分は電界が集中しやすく、環境の影響を直接受けるため、施工場所の汚損レベルに応じて処理方法を選択しなければなりません。塩害地域では、空気中の塩分がケーブル表面に付着し、湿気を吸うことで導電性の被膜が形成されます。これが原因で沿面放電(トラッキング)が発生し、地絡事故を引き起こすリスクが高まります。そのため、汚損に強い磁器製やポリマー製の碍管形を用いることで、十分な沿面距離と耐トラッキング性を確保するのが基本ルールです。

誤りを見抜くための論理構成

試験問題において不適切なものを探す際、以下の手順で検討します。

  1. ケーブル本体の規定(イ):CVTケーブルは標準的な選択であり、適切。
  2. 環境条件と処理方法の整合性(ロ):重汚損地域という厳しい環境に対して、簡易なゴムや管形のみでの対応が十分であるかを疑う。ここが論理的な弱点となります。
  3. 現場における実務とプロトコル(ハ):電気設備の設置において、電流値や短絡耐量は重要事項であり、配電事業者(電力会社)との協議は不可欠。適切。
  4. 物理的な防護(ニ):防水処理は高圧電気設備における基本であり、水分の侵入による絶縁劣化を防ぐために必須。適切。

このように、項目を「材料」「環境耐性」「計画・協議」「防水・物理保護」の4軸に分解することで、誤りの選択肢を浮き彫りにします。

技術知識が現場で果たす役割

この問題の教育的意図は、単なる暗記ではなく「環境条件に応じた適切な機器選定ができるか」という実務能力の確認にあります。実際の現場では、施工図面を作成する際に、その土地が塩害地域に該当するかどうかを事前調査し、選定する部材のカタログや仕様書を確認します。

もし設計段階で重汚損地域であることを無視して安価な管形終端処理を選定してしまえば、早期に絶縁破壊が起き、停電事故の原因となります。電気工事士の責任は、法令や基準を満たすことはもちろん、設置後の長期間にわたる安定稼働を確保することにあります。この問題は、そうした技術者としての判断力を問う非常に重要なテーマです。

参考リンク

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