第一種電気工事士試験 / 平成30年度 筆記試験(追加試験分) / 問21
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平成30年度 筆記試験(追加試験分) 問21 解説 ケーブルの劣化現象

高圧架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブルにおいて,水トリーと呼ばれる樹枝状の劣化が生じる箇所は。

  1. イ. 銅導体内部
  2. ロ. 架橋ポリエチレン絶縁体内部 ✓ 正答
  3. ハ. ビニルシース内部
  4. ニ. 遮へい銅テープ表面

解説

この問題は「水トリー」という用語がどの箇所に関連するものか、ピンポイントで記憶しているかが鍵です。「水(Water)」と「木(Tree)」という名前の通り、絶縁体の中で樹枝状に劣化が進む現象と結びつけて判断します。

水トリー現象の正体

水トリーとは、高圧ケーブルの絶縁体中に微量の水分が浸入し、そこに電界が集中することで、絶縁体が樹枝状(トリー状)に劣化していく現象です。

架橋ポリエチレン(XLPE)は優れた絶縁材料ですが、極めて微小な空隙や不純物が存在すると、そこを起点として水分が凝集しやすくなります。この水分と電気的なストレスが組み合わさることで、絶縁体内部で徐々に化学的・物理的な変質が進行します。見た目が木の枝のように見えるため、この名がついています。

正答に至る思考回路

選択肢を吟味する際、以下のポイントを整理します。

・架橋ポリエチレン絶縁体:これが水トリーの発生場所です。絶縁性能を維持する最も重要な層であり、ここが侵されると絶縁破壊のリスクが高まります。 ・銅導体:電気を通す芯の部分です。水トリーはあくまで絶縁材料の劣化現象であるため、ここではありません。 ・ビニルシース:ケーブルの最も外側を保護する外装です。機械的な保護や防水が目的であり、絶縁体のような劣化は起こしません。 ・遮へい層:電界を遮へいし、静電誘導を防ぐための金属層です。ここも絶縁体ではありません。

試験では「水トリー=絶縁体内部の劣化」というキーワードをセットで覚えておくことで、迷わずロを選択できます。

現場実務における重要性

この知識は、高圧ケーブルの保守点検や寿命予測において極めて重要です。水トリーは、最初は目に見えない微細な劣化から始まり、放置すると絶縁破壊につながる大きな「電気トリー」へと発展する可能性があります。

実際の現場では、ケーブルの「絶縁抵抗測定」や、より詳細な診断として「残留電荷測定」や「誘電正接(tan δ)測定」などが行われます。これらは、絶縁体内部の状態を非破壊で調べるための技術です。試験の知識は、単なる暗記ではなく、ケーブルが長期間健全に機能し続けるために、絶縁体をどのようなメカニズムから守るべきかという、保全の本質を理解するための土台となります。

参考リンク

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