第一種電気工事士試験 / 平成30年度 第一種 筆記試験 / 問20
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平成30年度 第一種 筆記試験 問20 解説 零相変流器と継電器

零相変流器と組み合わせて使用する継電器 の種類は。

  1. イ. 過電圧継電器
  2. ロ. 過電流継電器
  3. ハ. 地絡継電器 ✓ 正答
  4. ニ. 比率差動継電器

解説

零相変流器の役割を理解すれば正解は明白

この問題は、電気設備の保護システムにおける基本的な知識を問うものです。零相変流器(ZCT)は、電路の地絡事故発生時に流れる「零相電流」を検出するための機器です。したがって、この零相電流を検出し、回路を保護するために組み合わせて使用する継電器は、地絡事故から電路を守る「地絡継電器」となります。

零相変流器(ZCT)とは何か、地絡事故とは何か

私たちの身の回りにある電気回路、特に三相交流回路では、通常の状態であれば各相に流れる電流のベクトル和はゼロになります(Ia + Ib + Ic = 0)。これは、各相の電流が互いにバランスを取り合っているためです。

しかし、電線が劣化して絶縁が破壊されたり、工事中に誤って電線が大地に触れてしまったりすると、「地絡事故」が発生します。地絡事故が発生すると、電路の一部から大地へと電流が漏れ出すため、各相電流の平衡が崩れてしまいます。このとき、各相電流のベクトル和はゼロではなくなり、その不平衡成分が「零相電流」として現れます。

零相変流器(ZCT: Zero-phase Current Transformer)は、この零相電流を検出するために特化した変流器です。三相3線(または三相4線)の電線をまとめてドーナツ状のZCTの中心を貫通させることで、健全な状態であれば各相電流が互いに打ち消し合い、ZCTの二次側には電流が誘起されません。しかし、地絡事故によって零相電流が流れると、その不平衡な磁束によってZCTの二次側に電流が誘起され、これを検出信号として取り出すことができます。

地絡継電器の働きと電気設備の保護

検出された零相電流の信号を受け取り、実際に回路を保護する役割を担うのが「継電器」です。継電器は、電路の異常を検出し、遮断器(ブレーカー)などにトリップ信号を送ることで、事故区間を自動的に切り離し、被害の拡大を防ぐ保護装置の総称です。

ZCTと組み合わせて使用される「地絡継電器」は、ZCTから送られてくる零相電流の信号が、あらかじめ設定された値(整定値)を超えた場合に動作します。地絡事故は、感電事故や火災の原因となる非常に危険な事故であり、電気設備そのものにも大きな損傷を与える可能性があります。地絡継電器が動作して事故回路を速やかに遮断することで、人命と財産、そして電気設備を守る上で極めて重要な役割を果たしています。

他の選択肢とその用途

  • イ. 過電圧継電器: 電路の電圧が異常に上昇した際に動作し、機器の絶縁破壊などを防ぎます。ZCTが電流を検出するのに対し、過電圧継電器は電圧を検出するため、組み合わせて使用するものではありません。
  • ロ. 過電流継電器: 電路に定格以上の過大な電流が流れた際に動作し、短絡事故や過負荷から電路や機器を保護します。地絡事故によっても電流は増加しますが、ZCTは特に「零相電流」という地絡特有の不平衡電流を検出するため、より的確に地絡を検出するには地絡継電器が使われます。過電流継電器は一般的に、通常の変流器(CT)と組み合わせて使用されます。
  • ニ. 比率差動継電器: 変圧器や発電機、母線などの内部故障を検出するために使用されます。保護対象の入り口と出口の電流を比較し、その差が一定の比率を超えた場合に動作します。これはZCTとは検出原理も目的も異なる継電器です。

この知識が実務で活かされる場面

この問題で問われる零相変流器と地絡継電器の組み合わせは、電気設備の安全を確保するための基本中の基本です。第一種電気工事士として、高圧受電設備や自家用電気工作物の設計、施工、保守点検に携わる際、どの保護装置がどのような事故を検出し、どのように連携して動作するのかを理解していることは不可欠です。

特に地絡保護は、感電という人命に関わる重大な事故を未然に防ぐ上で最も重要視される保護要素の一つであり、設置基準や試験方法についても深く理解しておく必要があります。この問題を通じて、単なる知識の暗記に留まらず、なぜその組み合わせが必要なのか、その装置が何を守っているのかを考える習慣を身につけていきましょう。

参考リンク

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