第一種電気工事士試験 / 平成30年度 第一種 筆記試験 / 問22
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平成30年度 第一種 筆記試験 問22 解説 ガス遮断器の特性

設問図

写真の機器の矢印で示す部分に関する記述 として,誤っているものは。

  1. イ. 小形,軽量であるが,定格遮断電流は大きく20 kA,40 kA 等がある。
  2. ロ. 通常は密閉されているが,短絡電流を遮断するときに放出口からガス を放出する。 ✓ 正答
  3. ハ. 短絡電流を限流遮断する。
  4. ニ. 用途によって,T,M,C,Gの4種類がある。

解説

この問題は、写真に示された機器が何かを正確に判断し、その機器の特性と照らし合わせて誤った記述を選ぶものです。

簡潔な解き方としては、まず写真の機器が限流ヒューズであることを特定します。その上で、限流ヒューズが密閉構造であり、遮断時に外部へガスを放出しないという重要な特性を知っていれば、選択肢ロが誤りだと即座に判断できます。


写真の機器:限流ヒューズについて

写真に示されているのは、高圧交流負荷開閉器(LBS)などに組み込まれて使用される**限流ヒューズ(電力ヒューズ)**です。円筒形の碍子(がいし)のような部分がそれにあたります。これは、過電流、特に短絡電流のような非常に大きな故障電流から電路や接続機器を保護するための重要な保安機器です。

限流ヒューズの動作原理と特徴

限流ヒューズは、内部に封入された金属製の溶断体(エレメント)が、過大な電流が流れることによって発生するジュール熱で溶融し、回路を瞬時に開放することで電流を遮断します。

限流ヒューズの最大の特徴は、その名の通り「限流遮断能力」を持っている点です。短絡事故が発生すると、通常の回路では非常に大きな短絡電流が流れますが、限流ヒューズは、この短絡電流が最大値(ピーク値)に達するよりも前に溶断することで、電流の大きさを抑制(限流)しながら遮断します。これにより、事故点や周辺機器にかかる機械的・熱的ストレスを大幅に軽減し、波及事故の防止に貢献します。

構造としては、通常、碍子製の筒の内部に溶断体と、溶断時に発生するアーク(電弧)を素早く消滅させるための消弧材(主に珪砂:けいしゃ)が密閉されて充填されています。この密閉構造が、外部への影響を最小限に抑える上で非常に重要です。

各選択肢の検証

選択肢イ:小形,軽量であるが,定格遮断電流は大きく20 kA,40 kA 等がある。

この記述は正しいです。限流ヒューズは、同等の遮断容量を持つ遮断器(例えば真空遮断器やガス遮断器)に比べて非常に小型で軽量に作られています。一方で、高圧受電設備において短絡事故から電路を保護するため、数十キロアンペア(kA)という大きな短絡電流を確実に遮断できる能力が求められます。そのため、定格遮断電流が20 kAや40 kAといった非常に大きなものが使用されます。

選択肢ロ:通常は密閉されているが,短絡電流を遮断するときに放出口からガスを放出する。

この記述が誤りです。限流ヒューズは、内部に消弧材(珪砂など)を密閉して充填しており、溶断時に発生するアーク熱によって内部の空気が膨張しても、その圧力は内部で吸収・処理され、外部へガスを放出することはありません。もしガスを放出するような構造であれば、周囲の機器や作業員に危険を及ぼす可能性があります。

「放出口からガスを放出する」という動作は、一部の古い油遮断器(O.C.B.)や、SF6ガス(六フッ化硫黄)を消弧媒体として用いるガス遮断器(G.C.B.)のうち、特に大容量の遮断時に一時的にガスを外部に排出するタイプ(ただし、現代のG.C.B.は多くが密閉循環型で放出しないか、極めて微量に留まる)の特性と混同させる意図があるかもしれません。しかし、限流ヒューズの基本的な動作として、ガスを外部に放出することはありません。

選択肢ハ:短絡電流を限流遮断する。

この記述は正しいです。前述の通り、限流ヒューズの最大の特長であり、名称の由来でもある「限流遮断」の能力です。短絡電流のピーク値を抑制することで、電路や機器にかかるストレスを軽減し、設備の健全性を保ちます。

選択肢ニ:用途によって,T,M,C,Gの4種類がある。

この記述は正しいです。電力ヒューズ(限流ヒューズ)は、その保護対象や用途に応じて以下のような種類があります。

  • T型(Transformer protection): 変圧器の一次側保護などに用いられ、変圧器の励磁突入電流などで溶断しない特性を持ちます。
  • M型(Motor protection): 電動機の保護に用いられ、電動機の始動電流では溶断せず、ロック電流などで溶断する特性を持ちます。
  • C型(Capacitor protection): 電力用コンデンサの保護に用いられます。
  • G型(General purpose): 一般的な回路保護に用いられる汎用タイプです。

これらの特性の違いは、ヒューズエレメントの構造や材料によって実現されています。

試験対策としてのポイント

この問題は、高圧受電設備に用いられる主要な保護機器である「限流ヒューズ」に関する基本的な知識を問うものです。

  • 写真判別: 主要な電気機器の写真を判別できるようにしておくこと。限流ヒューズはLBSとセットで使われることが多く、その形状を覚えておきましょう。
  • 基本特性: 限流ヒューズの「限流能力」と「密閉構造(ガス放出なし)」は特に重要な特性であり、試験で頻繁に問われます。
  • 種類と用途: T, M, C, G型といった分類も、それぞれの保護対象と関連付けて覚えておくと良いでしょう。

これらの知識をしっかりと習得しておくことで、高圧受電設備における保護協調や機器の選定に関する理解も深まります。


参考リンク

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