2019年度 第一種電気工事士 筆記試験 問27 解説 接地工事の不適切事例
接地工事に関する記述として,不適切なものは。
- イ. 人が触れるおそれのある場所で,B種接地工事の接地線を地表上2mまで金属管で保護した。 ✓ 正答
- ロ. D種接地工事の接地極をA種接地工事の接地極(避雷器用を除く)と共用して,接地抵抗を10Ω以下とした。
- ハ. 地中に埋設する接地極に大きさ900mm×900mm×1.6mmの銅板を使用した。
- ニ. 接触防護措置を施していない400V低圧屋内配線において,電線を収めるための金属管にC種接地工事を施した。
解説
この問題は、接地工事の技術基準における「接地線の防護」および「接地極の共用」に関する規定を正しく理解しているかを問うものです。
正解はイです。不適切な記述を選ばなければならないため、この選択肢がなぜ誤りなのかを判断できれば正解にたどり着けます。
B種接地工事の接地線に対する規定
B種接地工事の接地線は、人が触れるおそれがある場所に施設する場合、地表上2mまで堅牢な金属管に収める必要があります。しかし、この規定には極めて重要な例外があります。金属管や金属体を用いる場合、接地線と金属管を電気的に接続してはいけません。
仮に接地線と金属管を接続してしまうと、事故時に高い電圧がその金属管にそのまま印加され、管に触れた人が感電するリスクが高まります。そのため、この規定では「接地線は金属管で防護する」だけではなく、その金属管が接地線と接触しないように絶縁性を確保するか、あるいは防護の仕方を工夫する必要があります。試験において「接地線を金属管に収める」という表現が出てきた場合、それが「接地線と金属管が接触しない構造になっているか」という視点が隠れていることに注意してください。
接地極の共用と等電位化
選択肢ロの「D種接地工事の接地極をA種接地工事の接地極と共用する」ケースは、接地抵抗値が低い方(この場合は10Ω以下)に合わせることで認められています。A種接地工事は避雷器などのように高い電圧を扱うこともあるため、避雷器用との共用は禁じられていますが、それ以外であれば共用は可能です。
ハの「銅板の使用」については、厚さ1.6mm以上、かつ面積が0.2平方メートル以上あれば接地極として認められます。900mm×900mmであれば0.81平方メートルとなり、基準を十分に満たしています。
ニの「C種接地工事」は、使用電圧が300Vを超える低圧屋内配線の金属管に施すものです。接触防護措置を施していない400V回路であれば、漏電時の感電防止のためにC種接地が必要であり、適切な処置といえます。
試験対策としての知識の整理
この分野は、単なる暗記ではなく「なぜそのルールがあるのか」を考えることで定着しやすくなります。接地工事の目的は「漏電時に速やかに地絡電流を流すこと」と「機器の金属筐体の電位を上げて感電を防ぐこと」の2点です。
- 防護措置: 物理的な衝撃から線を守るだけでなく、接触による二次災害を防ぐ。
- 接地極の共用: 複数の接地極を接続することで地中での電位分布を均一化し、相互干渉を抑える。
- 抵抗値の確認: 接地種別ごとに求められる抵抗値は、その系統で発生する地絡電流の大きさと、許容される接触電圧から逆算されています。
実務においては、これらの数値基準を満たすことはもちろん、経年変化による腐食や接続部の緩みを考慮した施工が求められます。試験問題では、こうした基準値の「境界線」や「例外規定」が狙われやすいため、法令集の該当箇所をただ眺めるだけでなく、なぜそのような数値・条件になっているのかを意識して学習を進めましょう。