2019年度 第一種電気工事士 筆記試験 問28 解説 金属管工事の不適切事例
金属管工事の記述として,不適切なものは。
- イ. 金属管に,直径2.6mmの絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く)を収めて施設した。
- ロ. 金属管に,高圧絶縁電線を収めて,高圧屋内配線を施設した。 ✓ 正答
- ハ. 金属管を湿気の多い場所に施設するため,防湿装置を施した。
- ニ. 使用電圧が200Vの電路に使用する金属管にD種接地工事を施した。
解説
この問題は、金属管工事における使用可能な電線および施工条件に関する規定を問うものです。不適切なものを選択する問題であるため、各選択肢の根拠となっている「電気設備に関する技術基準を定める省令」および「内線規程」のルールを照らし合わせることで正解を導き出します。
高圧屋内配線と金属管の制限
選択肢ロが不適切である理由は、金属管工事において高圧絶縁電線を使用することが認められていないためです。
金属管工事は、原則として低圧の屋内配線工事に用いられる手法です。高圧の屋内配線を施設する場合、配線方法には「金属管工事」は含まれず、主に「ケーブル工事」または「がいし引き工事」が採用されます。高圧配線は低圧配線に比べて絶縁性能の確保や機械的な保護の要求レベルが極めて高く、通常の金属管の中に高圧絶縁電線を収めることは、電線の引き入れの困難さや絶縁破壊のリスクの観点から規定で認められていません。
金属管工事の適正な施工条件
他の選択肢がなぜ適切とされるのか、その根拠を確認しましょう。
イ:金属管工事では、原則として絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く)を使用する必要があります。直径2.6mmの電線は、金属管の太さや占有率の規定(管内の断面積合計が管の断面積の32%以下、または48%以下)を満たしていれば使用可能です。
ハ:湿気の多い場所や水気のある場所に金属管を施設する場合、電線管の接続部から湿気が侵入し、管内で結露が発生するのを防ぐ必要があります。したがって、防湿措置を施すことは保安上必須の要件です。
ニ:使用電圧が300V以下の低圧電路において、金属管にはD種接地工事を施す必要があります(300Vを超える場合はC種接地工事)。200Vの電路であれば300V以下に該当するため、D種接地工事で適切です。
試験対策としての知識の整理
この問題は、金属管工事という基礎的な施工法が「どの電圧階級で使えるのか」「どのような環境で施工できるのか」という境界線を理解しているかを問うています。
試験本番では、まず「金属管=低圧配線用」という基本を念頭に置き、高圧配線に関する選択肢が出てきた時点で「これは例外または禁止事項である可能性が高い」と判断する思考プロセスが有効です。現場での実務においても、図面や仕様書を見て「この電圧でこの工法は妥当か」を判断する際、この「電圧階級と工法のマッチング」の知識がトラブルを未然に防ぐ鍵となります。
特に高圧・特別高圧配線については、施工できる工法が限定的であることを把握しておくことが、電気保安を担う技術者としての重要な素養となります。