2019年度 第一種電気工事士 筆記試験 問37 解説 D種接地工事の基準
電気設備の技術基準の解釈において,D種 接地工事に関する記述として,誤っているも のは。
- イ. D種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が10Ω以下でなければ,D種接地工事を施したものとみなされない。 ✓ 正答
- ロ. 接地抵抗値は,低圧電路において,地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは,500Ω以下であること。
- ハ. 接地抵抗値は,100Ω以下であること。
- ニ. 接地線は故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものであること。
解説
この問題は、D種接地工事の規定値と、その「規定値」が持つ意味を正しく理解しているかを問うています。誤っている記述を見つけるためには、接地工事の基準が「上限値」であることを押さえるのが最短ルートです。
接地工事の基準値が持つ意味
D種接地工事の接地抵抗値は、原則として100Ω以下と定められています。この「100Ω以下」という数値は、地絡事故が発生した際、その機器の金属製外箱の電圧を人体に危険のない程度にまで下げるために必要な「上限」を意味しています。
もし接地抵抗が10Ωであれば、100Ωよりも十分に小さいため、安全性はより高く確保されていることになります。したがって、10Ω以下という数値は当然ながらD種接地工事の要件をクリアしていることになり、「D種接地工事を施したものとみなされない」とする選択肢イの記述は明らかに誤りです。
D種接地工事における抵抗値の緩和ルール
接地抵抗値は、現場の安全装置によって緩和が認められています。これが選択肢ロに関連する内容です。
通常は100Ω以下ですが、漏電遮断器などの「地絡が生じた場合に0.5秒以内に自動的に遮断する装置」を施設している場合、接地抵抗値は500Ω以下まで緩和されます。これは、0.5秒以内という短時間であれば、抵抗値が少し高くても感電事故に至るリスクが低いという技術的な判断に基づいています。
この「500Ω以下」という緩和規定は、試験において頻出の知識です。数字の大きさに惑わされず、「安全装置があれば高い抵抗値でも許容される」という背景を整理しておきましょう。
実務で求められる接地抵抗の考え方
この問題の教育的意図は、単なる数字の暗記ではなく、「なぜ接地抵抗の基準があるのか」という本質的な理解を求めている点にあります。
実務において接地抵抗を測定する場合、設計値が「100Ω以下」であれば、現場で測定した値が50Ωであろうが10Ωであろうが、接地工事としては合格となります。しかし、接地抵抗は値が小さければ小さいほど、地絡事故時の電位上昇を抑えられるため、電気設備としてはより高性能であると言えます。
試験の選択肢イのように「基準値より良すぎると基準を満たさない」といった論理は、電気技術の常識から外れています。現場では「上限値はこれだけれども、できるだけ小さくすることが望ましい」という姿勢が重要であり、こうした知識を定着させておくことが、試験合格だけでなく、その後の実務での判断基準を支えることになります。