2019年度 第一種電気工事士 筆記試験 問39 解説 電気工事業法
電気工事業の業務の適正化に関する法律に おいて,誤っていないものは。
- イ. 主任電気工事士の指示に従って,電気工事士が,電気用品安全法の表 示が付されていない電気用品を電気工事に使用した。
- ロ. 登録電気工事業者が,電気工事の施工場所に二日間で完了する工事予 定であったため,代表者の氏名等を記載した標識を掲げなかった。
- ハ. 電気工事業者が,電気工事ごとに配線図等を帳簿に記載し,3年経った のでそれを廃棄した。
- ニ. 登録電気工事業者の代表者は,電気工事士の資格を有する必要がない。 ✓ 正答
解説
この問題は、電気工事業の業務の適正化に関する法律(電気工事業法)における「義務」と「資格」の要件を正しく理解しているかを問うものです。各選択肢の違法性を一つずつ確認し、正誤を判断します。
法律が定める電気工事のルールを確認する
各選択肢を検討するための判断基準は以下の通りです。
イ:電気用品安全法の表示(PSEマーク)がない電気用品を電気工事に使用することは、法的に禁じられています。主任電気工事士の指示があろうとなかろうと、法令違反です。
ロ:登録電気工事業者は、工事の規模や期間に関わらず、施工場所ごとに必ず「電気工事業者である旨の標識」を掲示しなければなりません。「短期間だから」という理由は免除規定にはなりません。
ハ:電気工事業者は、施工した電気工事の内容について帳簿を備え、一定期間保存する義務があります。保存期間は「5年間」と定められているため、3年で廃棄した行為は違反です。
ニ:登録電気工事業者は、営業所に主任電気工事士を配置する義務があります。この制度により、実務の責任は主任電気工事士が負うため、会社の代表者自身が電気工事士の資格を持っている必要はありません。
選択肢を論理的に選別する思考プロセス
本問は「誤っていないもの(=正しいもの)」を選ぶ問題です。
まず、イ、ロ、ハの選択肢を読んだ際、「これは何らかのルール違反ではないか?」という視点を持つことが重要です。イは「PSEマークがない製品を使う」という安全上の重大な問題、ロは「標識を掲げない」という公的な義務放棄、ハは「帳簿の保存期間不足」という記録義務違反です。これらはいずれも電気工事業法や関連法規に照らして不適当な行為です。
一方でニは、電気工事士試験の学習を進める上で「主任電気工事士」という役割が重要であることを学んでいれば、「現場の実務を監督する主任電気工事士がいるので、経営のトップ(代表者)は資格がなくても良い」という制度の趣旨を導き出せます。この消去法的なアプローチによって、短時間で正解に到達できます。
電気工事業法が意図する責任分担
この問題には、電気工事業法における責任の分離という構造が示されています。法律は「営業面・経営面の責任者(代表者)」と「技術面の責任者(主任電気工事士)」を切り分けて考えています。
現実の電気工事業界では、代表者が必ずしも電気工事のプロフェッショナルであるとは限りません。しかし、安全を担保するために、技術的な判断を行う主任電気工事士の配置を法的に義務付けています。この仕組みがあるからこそ、代表者は電気工事士の資格がなくても、会社として電気工事業を営むことができるのです。
受験生にとってこの知識は、単なる暗記ではなく、電気工事業がどのような体制で社会的な信頼を担保しているかという「制度の仕組み」を理解する指標となります。実務に就いた際、誰がどの責任を負うのかという判断基準は、現場の安全管理を正しく行う上での基礎教養となります。