令和2年度 第一種電気工事士 筆記試験 問37 解説 過電流継電器の保護協調
CB形高圧受電設備と配電用変電所の過電流 継電器との保護協調がとれているものは。 ただし,図中①の曲線は配電用変電所の過 電流継電器動作特性を示し,②の曲線は高圧 受電設備の過電流継電器とCBの連動遮断特性 を示す。
- イ.
- ロ.
- ハ.
- ニ. ✓ 正答
解説
この問題の正解は、選択肢ニです。
保護協調の良し悪しを判断する際は、事故が発生した際にどの遮断器が先に動作すべきかに注目します。具体的には、受電設備側(需要家側)の遮断器が配電用変電所(電力会社側)の遮断器よりも先に動作し、停電範囲を最小限に抑えることが大原則です。この条件を満たすためには、特性曲線上で受電設備側の曲線(②)が配電用変電所側の曲線(①)よりも常に左下(より小さい電流で、より速く動作する領域)にある必要があります。
保護協調の基本的な考え方
電気設備の保護において、保護協調とは事故が発生したときに、事故点に近い箇所にある遮断器を優先的に動作させる技術のことです。もし受電設備内で短絡事故が発生した際、電力会社側の変電所遮断器が先に動作してしまうと、その配電線につながっている他の健全な需要家まで巻き込んで停電させてしまいます。これを避けるため、需要家側のCB(遮断器)が先に遮断するように設計します。
特性曲線から読み取るべきポイント
各選択肢のグラフは横軸が電流、縦軸が遮断時間を表しています。保護協調が適切に取れている状態とは、以下の条件をグラフ上で満たしている状態を指します。
- 任意の電流値において、曲線②(受電設備)の時間が曲線①(配電用変電所)の時間よりも短いこと。
- 曲線が交差していないこと。もし交差していると、電流値によっては動作順序が逆転してしまい、バックアップ保護としての役割が果たせなくなります。
選択肢ニのグラフを確認すると、破線で示された曲線②が常に実線で示された曲線①よりも左下側に位置しています。これは、どのような過電流が流れても、受電設備側のCBが変電所側の継電器より先に遮断することを意味しており、保護協調が正しく取れている状態といえます。
実務における重要性
この知識は、高圧受電設備の設計や保全を行う際に必須となります。例えば、自家用電気工作物の設置者は、受電設備を導入する際に電力会社と協議を行い、過電流継電器の動作設定や遮断器の選定を行います。このとき、電力会社側が保護している配電線の特性曲線データを参考にし、それよりも高速に動作するような設定値を算出します。
もし保護協調が適切でないと、軽微な事故で広範囲の停電を引き起こす原因となり、信頼性の高い電力供給ができなくなります。電気工事士試験においては、理論的な特性曲線の理解だけでなく、電力系統全体の中で自身の担当する設備がどのような役割を果たすべきかという広い視点を持つことが、この種の問題を解くための鍵となります。