令和3年度 下期 学科試験 問33 解説 高圧受電設備の機器構成
問30から問34までは,下の図に関する問いである。 図は,自家用電気工作物内の高圧受電設備を表した図である。 この図に関する各問いには,4通りの答え(イ,ロ,ハ,ニ)が書いてある。それぞれの問いに対して,答えを1つ選びなさい。 〔注〕図において,問いに直接関係のない部分等は,省略又は簡略化してある。
- イ ✓ 正答
- ロ
- ハ
- ニ
解説
定期点検の分類と絶縁耐力試験の位置付け
この問題は、電気設備の保守管理における「点検の頻度」と「試験の目的」を区別することで正解にたどり着けます。
年次点検は、設備を停電させて実施する本格的な点検ですが、絶縁耐力試験(耐圧試験)は、機器の絶縁性能を破壊するリスクを伴うため、日常や毎年の点検では原則として行いません。試験の目的が「設備の健全性の維持」ではなく「竣工時の性能確認や、修理・改造後の性能保証」にあることを理解しておきましょう。
年次点検と絶縁耐力試験の役割の違い
電気保安の現場では、点検を以下の通りに分類しています。
・日常点検:設備の外観や温度、異音などを視覚・聴覚で確認する。 ・月次点検:停電を伴わない簡易的な測定や外観チェック。 ・年次点検:停電を伴う精密な点検。保護継電器の動作確認や、絶縁抵抗・接地抵抗の測定などを行い、設備全体の健全性を評価する。
一方、絶縁耐力試験は、最大使用電圧の1.5倍程度の高い電圧を印加して、絶縁破壊が起きないかを調べる試験です。これはあくまで「この機器は高い電圧に耐えうるか」という限界性能を確認するものであり、経年変化を確認する一般的な定期点検で行うと、かえって絶縁劣化を早めたり、予期せぬ停電事故を引き起こしたりする恐れがあります。そのため、年次点検の標準項目には含まれていないのです。
なぜこの試験が問われるのか
この問題は、試験対策としてだけでなく、実務上の「保安管理の鉄則」を問うています。
保護継電器試験や絶縁抵抗測定は、現状の設備状態を把握し、事故を未然に防ぐための「予防」を目的としています。対して、絶縁耐力試験は設備に大きなストレスを与える「破壊試験」に近い性格を持っています。実務で誤って運用すれば設備を壊してしまう可能性があるため、第一種電気工事士としては「どの試験が保守的であり、どの試験が破壊的であるか」という技術的なリスク管理の視点を求められています。
試験問題では、「年次点検で行う項目」として頻出する以下の項目をセットで覚えておきましょう。
・絶縁抵抗測定:設備が漏電していないかを確認する(基本) ・接地抵抗測定:接地極の抵抗値が規定値内かを確認する(安全の根拠) ・保護継電器試験:事故時に正しく回路が遮断されるかを確認する(保護協調)
これらは設備を停止させて行いますが、絶縁耐力試験とは異なり、適切に行えば設備に過度な負担をかけることはありません。