令和6年度 下期 学科試験 問6 解説 配電線の電圧降下
図は単相2線式の配電線路の単線結線図 である。電線1線当たりの抵抗は, A-B間で 0.1Ω, B-C間で0.2Ωである。A点の線間電圧 が210Vで, B点, C点にそれぞれ負荷電流 10Aの抵抗負荷があるとき, C点の線間電圧 [V]は。 ただし, 線路リアクタンスは無視する。
- イ. 200
- ロ. 202 ✓ 正答
- ハ. 204
- ニ. 208
解説
この問題は、単相2線式配電線路における電圧降下の計算問題です。C点の電圧を求めるためには、電源端であるA点から順に電圧降下を差し引いていく手順で計算します。
計算のステップは以下の通りです。
各区間の電流を求める
- A-B間には、Bの負荷10AとCの負荷10Aの合計 が流れます。
- B-C間には、Cの負荷10Aのみが流れるため です。
各区間の電圧降下を求める 単相2線式では往復の電線に電流が流れるため、電圧降下は となります。
- A-B間の電圧降下
- B-C間の電圧降下
C点の電圧を算出する
単相2線式の回路構成と電圧降下の考え方
単相2線式は2本の電線で構成されています。電流は送り側の線を通って負荷に流れ、戻り側の線を通って電源へ帰ります。そのため、抵抗値を 、電流を とすると、回路全体の電圧降下は往復分を考慮して として計算しなければなりません。
問題文で「電線1線当たりの抵抗」として与えられている値は片側分ですので、この2倍がその区間における実質的な抵抗値となります。この「往復分」を見落とすことが、試験で間違いやすい最大のポイントです。
枝分かれする線路での電流の追跡
この問題のような配電線路では、下流側の負荷電流は上流側の全区間に影響を与えます。AからCに向けて電流が流れる過程において、A-B間はBとC両方の負荷電流を支え、B-C間はCの電流のみを支えるという構造を理解することが重要です。
もし負荷が複数ある場合でも、もっとも末端の負荷から順番に計算することで、各区間を流れる電流を漏れなく把握できます。線路を単純な抵抗の直列接続として捉え、キルヒホッフの法則を適用するのと同じ考え方で解き進めることができます。
実務における電圧降下の計算の意味
電気工事士の現場において、電圧降下の計算は極めて重要です。なぜなら、電線には必ず電気抵抗が存在し、長い距離を送電すればするほど末端の電圧は低下してしまうからです。
日本の電気設備技術基準では、末端の負荷が正常に動作するように、電圧降下の許容値が定められています。例えば、内線規程では受電点から負荷までの電圧降下を通常2%(条件により最大5%)以内に抑えることが求められます。
今回の計算のように、電線の太さ(抵抗)と負荷の大きさを考慮して、末端の電圧が許容範囲に収まっているかを確認する作業は、設計段階で必須のプロセスです。この問題で学んだ「電流×抵抗×往復」という計算手法は、電線の太さ選定や配線距離の制限を検討する際の基礎知識となります。