令和7年度 下期 学科試験 問3 解説 交流回路の電流
図のように,角周波数がω=500rad/s,電圧100Vの交流電源に,抵抗R=3ΩとインダクタンスL=8mHが接続されている。回路に流れる電流Iの値[A]は。
- イ. 9
- ロ. 14
- ハ. 20 ✓ 正答
- ニ. 33
解説
この問題は、直列回路のインピーダンスを求め、オームの法則に当てはめることで解決します。以下の3ステップで計算を進めます。
- 誘導性リアクタンス を求める
- インピーダンス を求める
- 電流 を求める
インピーダンスとリアクタンスの計算手順
まず、コイル(インダクタンス)が交流に対してどれだけ抵抗として働くかを示す誘導性リアクタンス を計算します。与えられた角周波数 とインダクタンス を用いると、 となります。
次に、回路全体の合成抵抗であるインピーダンス を求めます。抵抗 とリアクタンス は位相が90度ずれているため、単純な足し算ではなくベクトル加算を行います。三平方の定理により、 となります。
最後に、オームの法則 に値を代入します。電源電圧 、インピーダンス より、 が導かれます。
交流回路における抵抗の役割
この問題の本質は、交流回路では「抵抗成分」と「リアクタンス成分」が異なる性質を持っていることを理解することにあります。直流回路では抵抗のみを考えればよいですが、コイルやコンデンサを含む交流回路では、周波数(角周波数)によって電流の流れにくさが変化します。
コイルは電流の変化を妨げようとする性質があり、周波数が高くなればなるほど、その妨害(リアクタンス)は大きくなります。試験問題において の直角三角形が頻出するのは、計算を簡略化するためだけでなく、インピーダンスの計算の本質を問うための定石だからです。
実務および学習の視点
この知識は、電動機や変圧器などの誘導性負荷を取り扱う際に必須となります。例えば、実際の配線設計や保護機器の選定において、回路の力率(電圧と電流の位相差)を考慮する必要があります。力率を改善するためのコンデンサ容量の計算など、リアクタンスをベクトルとして扱う考え方は、電力設備の保守・管理において避けては通れない基礎理論です。
この問題を解くことは、単なる計算練習ではなく、交流回路における「見えない抵抗」を可視化し、回路全体のエネルギーの流れを制御するための準備運動といえます。