令和7年度 下期 学科試験 問4 解説 交流回路の消費電力
図のような交流回路において,10Ωの抵抗の消費電力[W]は。 ただし,ダイオードの電圧降下や電力損失は無視する。
- イ. 100
- ロ. 200
- ハ. 500 ✓ 正答
- ニ. 1000
解説
この問題は、半波整流回路における電力の計算を問うものです。消費電力 を求めるために、ダイオードによって半分カットされた電圧の「実効値」を算出し、 の式に当てはめることで答えを得ます。
半波整流後の実効値
交流電源の電圧 は実効値です。ダイオードにより半波整流されると、電流が流れるのは電源電圧のプラス側の半周期のみとなり、マイナス側の半周期は遮断されます。
波形が半分になることで、回路に供給されるエネルギーも半分になります。電力量は電圧の二乗に比例するため、半波整流後の実効値 は、元の実効値 に対して 倍となります。
消費電力の算出プロセス
消費電力 は、抵抗 を用いて以下の手順で計算します。
- 式 を立てます。
- 先ほど求めた実効値を代入します。
この計算により、抵抗で消費される電力は と導き出されます。
なぜ実効値で考えるのか
電気機器の定格や電源電圧で用いられる「実効値」とは、交流の波形がどのような形であっても、「直流の電圧と同じ仕事(発熱)をする値」として定義されています。
この問題のポイントは、ダイオードを通すことで波形の「時間的な平均」が変わる点にあります。全波であればそのまま として扱えますが、半波整流の場合は、波形が に削られているため、エネルギー換算で の係数をかける必要があります。これは「電力は電圧の二乗に比例する」という法則を理解しているかを問う、電気の基礎として非常に重要な論点です。
現場での応用と試験の意図
第一種電気工事士の試験において、この問題が出題されるのは、整流回路が身近な電源機器の基本要素だからです。例えば、ACアダプター内部の整流回路や、調光器(サイリスタを用いた制御)の仕組みを理解する第一歩となります。
現場では、単なる計算以上に「ダイオードを通した後の電圧がどうなるか」という直感的な理解が求められます。半波整流では半分しか電気が流れないため、電熱器などは全波の半分しか熱を出さないというイメージを持つことが、回路の故障診断や容量計算のミスを防ぐ鍵となります。