令和7年度 下期 学科試験 問22 解説 機器の用途
写真に示す機器の用途は。
- イ. 大電流を小電流に変換する。
- ロ. 高調波電流を抑制する。 ✓ 正答
- ハ. 負荷の力率を改善する。
- ニ. 高電圧を低電圧に変換する。
解説
写真の機器は「直列リアクトル(Series Reactor)」です。第一種電気工事士試験において、この形状の機器は高圧進相コンデンサとともに設置されるものとして記憶しておくのが最も効率的な解き方です。選択肢にあるような大電流や高電圧の変成を行うVCT(計器用変圧変流器)とは見た目や構成が全く異なります。
直列リアクトルの役割と構成
直列リアクトルは、一般的に高圧進相コンデンサと組み合わせて使用されます。高圧進相コンデンサは進み電流を流して負荷の力率を改善しますが、これだけでは電源側のインダクタンス成分とコンデンサの静電容量によって、特定の周波数で共振を起こすリスクがあります。
この共振により、電力系統に含まれる高調波成分が拡大され、コンデンサや周囲の機器に過電流や過電圧が生じる恐れがあります。そこで、コンデンサに直列に接続したリアクトルにより、第五高調波(電源周波数の5倍の周波数)に対して誘導性リアクタンスを大きくし、共振を抑制することで障害を防ぐ役割を果たします。
試験問題における見分け方のプロセス
試験問題では、写真を見て即座に「これは直列リアクトルだ」と判別する必要があります。以下のポイントで特徴を整理してください。
- 形状の確認: 直列リアクトルは、鉄心とコイルから構成される比較的シンプルな直方体の筐体をしています。VCTは計器用の端子が多数あるのが特徴ですが、直列リアクトルは端子がコンデンサとの接続用として主回路側に配置されています。
- 用途の関連付け: 「力率改善」というキーワードが出た場合、まず頭に浮かぶのは高圧進相コンデンサです。そして、そのセットとして「高調波抑制」を行う直列リアクトルの存在を思い出してください。
- 消去法の活用: 他の選択肢にある「大電流を小電流に」「高電圧を低電圧に」といった機能は、変流器(CT)や変圧器(VT)、あるいはこれらを一体化したVCTの役割です。機器の目的が計測用なのか、回路保護・安定化用なのかを区別すれば、誤答を避けることができます。
実務における重要性
この知識は、受変電設備の設計や保守管理において極めて重要です。現代の電力系統には、インバータ装置やコンピュータ機器など、高調波を発生させる非線形負荷が溢れています。もし直列リアクトルを設置せずにコンデンサを接続してしまうと、高調波電流によってコンデンサの焼損事故や、ヒューズの頻繁な溶断を招くことになります。
試験では単に記号や名称を覚えるだけでなく、この機器が「なぜ必要なのか(回路の共振を防ぐため)」という物理的な背景をセットで理解しておくことで、現場に出た際にもトラブルシューティングに応用できる技術力が身につきます。