令和7年度 下期 第二種 学科試験 問4 解説
図のような正弦波交流回路の電源電圧vに対する電流iの波形として, 正しいものは。
- イ. ✓ 正答
- ロ.
- ハ.
- ニ.
解説
電路にコイル(L)のみが含まれる誘導性回路では、電流 は電圧 よりも位相が90度(1/4周期)遅れます。 波形図において、電圧 がゼロから正方向に立ち上がったあと、90度遅れて電流 がゼロから正方向に立ち上がっている「イ」を選択します。
flowchart LR V0[0°: vが立ち上がる] --> V90[90°: vが最大] V90 --> V180[180°: vが0] V180 --> V270[270°: vが最小] I0[0°: iはまだ0] --> I90[90°: iが立ち上がる] I90 --> I180[180°: iが最大] I180 --> I270[270°: iが0] V0 -. iは90°遅れ .-> I90
交流回路における「位相」の基本
第二種電気工事士の試験では、回路の素子(R、L、C)によって電圧と電流のタイミング(位相)がどうズレるかを問う問題が頻出します。以下の3つのパターンを完璧に覚えましょう。
- 抵抗(R)のみの回路:同位相
- 電圧と電流のタイミングがピッタリ同じ。
- 波形図では、電圧が山のときに電流も山になります(選択肢「ロ」のパターン)。
- コイル(L)のみの回路:電流が90度遅れる
- 電圧が先に変化し、電流が後からついてくるイメージです。
- 波形図では、電圧の波より右側に電流の波がズレます(選択肢「イ」)。
- コンデンサ(C)のみの回路:電流が90度進む
- 電圧よりも先に電流が流れ込みます。
- 波形図では、電圧の波より左側に電流の波がズレます(選択肢「ハ」)。
波形図の見分け方
波形図で「遅れ・進み」を判断するときは、**横軸(時間軸)の右側にあるほど「遅い」**と判断します。
- 正解の「イ」を確認: 電圧 が 0 度でゼロから立ち上がっているのに対し、電流 は 90 度の地点でようやくゼロから立ち上がっています。つまり、電流が 90 度分「遅れて」スタートしているため、これがコイル(L)の特性に合致した波形です。
- 他の選択肢: 「ハ」は電圧が 0 度のときに電流がすでにピークを過ぎており、電流が 90 度「進んで」いるためコンデンサ(C)の波形です。「ニ」は電流が逆向き(180度ズレ)になっています。
この知識が使われる場面
この「位相のズレ」という概念は、単に波形を選ぶ問題だけでなく、以下の計算問題の基礎となります。
- 力率(りきりつ)の計算: コイルが多い回路では電流が遅れるため「遅れ力率」となります。これを改善するために、わざと電流を適度に進ませる「進相コンデンサ」を設置する、という実務知識に繋がります。
- インピーダンスのベクトル計算: 抵抗 R とリアクタンス()を合成する際、単純な足し算ではなく「三平方の定理」を使うのは、この 90 度の位相差があるためです。
「コイルは遅れる(Lは遅れる)」というフレーズを暗記しておくだけで、得点源にできる重要項目です。