平成21年度 秋期 ITパスポート試験 問5 解説 アライアンスのリスク
複数の企業がアライアンスによって連携して活動する際に,軽減が期待できるリスクとして,最も適切なものはどれか。
- ア 事業投資リスク ✓ 正答
- イ 情報漏えいリスク
- ウ 人材流出リスク
- エ 不正リスク
解説
アライアンス(企業提携)の目的と、それに伴うリスクの変化に着目して選択肢を比較します。「連携することで負担や責任を分散できるか」という視点で考えれば、正解を導き出せます。
アライアンスがもたらすリスクの分散
アライアンスとは、複数の企業が互いの強みを持ち寄り、協力して事業を行う形態のことです。単独で事業を行う場合、設備投資や研究開発費などの多額の資金を自社だけで負担しなければなりませんが、パートナー企業と共同で取り組むことで、そのコストや損失の可能性を分け合うことができます。これが事業投資リスクの軽減です。
一方で、情報漏えい、人材流出、不正といったリスクは、アライアンスによって他社とデータやノウハウを共有したり、複雑な組織間連携が発生したりすることで、むしろ管理が難しくなり、増大する傾向にあります。
選択肢を見極めるための考え方
この問題を解く際のポイントは、言葉の定義と影響の向きを整理することです。
- 事業投資リスク:共同出資やリソースの共有により、自社の負担が減るため軽減できる(ポジティブな影響)。
- 情報漏えいリスク:連携先にも情報が共有されるため、自社のセキュリティ対策だけでは制御しきれず、むしろ増大するリスクである。
- 人材流出リスク:連携先との交流が活発になることで、ヘッドハンティングや引き抜きのリスクが高まる側面がある。
- 不正リスク:複数の組織が関与することで業務プロセスが複雑化し、監視の目が届きにくくなる箇所が増えるため、リスクは高まりやすい。
このように、アライアンスを「リソースの有効活用」という側面で見れば投資リスクの軽減が浮かび上がり、「管理領域の拡大」という側面で見れば他の選択肢がリスク要因であることが理解できます。
ビジネス現場での重要性
この問題は、経営戦略における「選択と集中」の論理を問うています。現代のITビジネスにおいて、すべての技術やリソースを自社だけで賄うことは、速度的にもコスト的にも不可能です。そのため、他社と組むことは必須の戦略となりますが、その際には必ず「何のリスクが減り、何のリスクが増えるのか」を評価しなければなりません。
例えば、新しいクラウドサービスを共同開発する場合、開発費を分担することで投資リスクは下がりますが、相手先に顧客データが渡る以上、セキュリティリスクに対する契約や技術的対策は単独事業よりも厳格に定義する必要があります。このように、ビジネスの意思決定において、メリットとデメリットを天秤にかける視点は、ITパスポートの枠を超えて実務でも非常に重要になります。