平成21年度 秋期 ITパスポート試験 問8 解説 ファブレスの定義
ファブレスを説明したものはどれか。
- 相手先の商標やブランドで製品を製造し,供給すること
- 自社では工場をもたずに製品の企画を行い,ほかの企業に生産委託する企業形態のこと ✓ 正答
- 製品の企画から製造,販売までの機能を垂直統合した製造小売業のこと
- 製品の設計,試作,製造を一括して生産受託するサービスのこと
解説
設問の判断根拠
ファブレス(Fabless)という言葉を、「Fab(工場)」と「less(〜がない)」の2つの単語に分解して考えるのが最短の解法です。「工場を持たない」という特徴に着目し、製造を他社に委託するビジネスモデルを指す選択肢を選びます。
ファブレスという経営戦略
ファブレスは、自社で製造設備という巨大な固定資産を持たないことで、経営の効率化を図るビジネスモデルです。企業は、自社の強みである「企画」「開発」「設計」や「マーケティング」といった知的財産に資金と人材を集中させることができます。
製造を担う工場側は「ファウンドリ(Foundry)」と呼ばれます。この分業体制により、設計企業は多額の設備投資リスクを回避でき、一方で製造企業は稼働率を維持できるという、双方にとってメリットのある関係が構築されています。
選択肢を分析する思考プロセス
この問題は、特定の経営形態の定義を正確に暗記しているかを問うています。他の選択肢についても、それぞれ以下の専門用語を指していることを整理しましょう。
・「相手先の商標やブランドで製品を製造し、供給すること」 これはOEM(Original Equipment Manufacturer)の説明です。自社ブランドではなく、他社の名前で製品を作る形態です。
・「製品の企画から製造、販売までの機能を垂直統合した製造小売業のこと」 これはSPA(Speciality store retailer of Private label Apparel)の説明です。アパレル業界などでよく見られ、企画から販売までを自社で一貫して行うことで、コスト削減や顧客ニーズへの迅速な対応を可能にします。
・「製品の設計、試作、製造を一括して生産受託するサービスのこと」 これはEMS(Electronics Manufacturing Service)の説明です。ファブレス企業からの委託を受けて、設計から製造までを請け負う専門企業のサービスを指します。
ビジネスモデルの理解が重要な理由
ITパスポート試験でこうした経営用語が問われるのは、現代のIT産業や製造業が、一社ですべてを完結させるのではなく、専門性の高い企業同士が連携するネットワーク型社会になっているからです。
例えば、AppleやNVIDIAといった世界的なIT企業は、自社で巨大な半導体工場を所有していません。優秀なエンジニアによるチップの設計に専念し、実際の製造は台湾などの巨大な半導体工場を持つ企業に委託しています。この仕組みを理解しておくと、ニュースで流れる経済動向や企業のニュースリリースを読んだ際に、その企業がどのような戦略をとっているのかが手に取るようにわかるようになります。