平成21年度 秋期 ITパスポート試験 問40 解説 ファシリティマネジメント
情報システムのファシリティマネジメントの対象範囲はどれか。
- ア IT関連設備について,最適な使われ方をを常に監視し改善すること ✓ 正答
- イ 工場の生産ラインの制御にコンピュータやネットワークを利用して,総合的に管理すること
- ウ 顧客データベースで顧客に関する情報を管理することによって,企業が顧客と長期的な関係を築くこと
- エ 取引先との受発注,資材の調達から在庫管理,製品の配送などといった事業活動にITを使用して,総合的に管理すること
解説
ファシリティマネジメントのキーワードを見抜く
この問題は、ファシリティマネジメントという言葉が「設備(Facility)」と「管理(Management)」の組み合わせであることを理解していれば即答できます。ITの世界で設備といえば、サーバやネットワーク機器そのものだけでなく、それらを動かすための電源、空調、セキュリティといった「物理的な環境」を指します。選択肢の中で「IT関連設備」という物理的な対象に言及しているアが正解です。
ファシリティマネジメントが指すもの
ファシリティマネジメント(FM)とは、企業が持つ資産(建物、設備、空間など)を、経営の視点から効率的・効果的に活用するための管理手法です。
IT分野におけるファシリティマネジメントは、主にデータセンターやサーバ室が対象となります。コンピュータは熱に弱く、電源が途切れると停止してしまうため、以下のような物理的環境を整え、維持し続けることが非常に重要です。
・空調設備:サーバから発生する熱を冷却する ・電源設備:停電を防ぐための無停電電源装置(UPS)や発電機の保守 ・セキュリティ:物理的な侵入を防ぐ入退室管理 ・省スペース・配線管理:ケーブルを整理し、効率的に配置する
これらが適切に管理されていないと、システムが高性能であっても、物理的なトラブルによって運用が止まってしまうリスクがあります。
選択肢の判断プロセス
試験では、言葉の定義を正しく選択肢に当てはめる力が必要です。今回の選択肢は、それぞれ異なる用語を指しています。
・ア:これがファシリティマネジメントの説明です。「設備」という物理的側面に焦点を当てています。 ・イ:生産管理システムやFA(Factory Automation)の説明です。 ・ウ:CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)の説明です。 ・エ:SCM(Supply Chain Management:供給連鎖管理)の説明です。
このように、ITパスポートではカタカナ語の略称や定義がよく問われます。言葉を丸暗記するのではなく、その言葉が「何を管理対象としているのか(設備なのか、顧客なのか、供給の流れなのか)」という軸で整理しておくと、迷いなく正解を選べるようになります。
現場で求められる設備維持の視点
この知識は、実際に社内のITインフラを運用したり、ベンダーとしてシステムを構築したりする場面で役立ちます。例えば、サーバを設置する部屋の温度管理が適切でない場合、どんなに優れたソフトウェアを使っていても機器の故障率は上がります。
実務においては、単に「システムが動いているか」という論理的な監視だけでなく、「設備として健全な状態(室温、電源、湿度など)が維持されているか」という物理的な監視もセットで行う必要があります。システムエンジニアや運用担当者は、論理と物理の両面から安定稼働を支える視点を持つことが求められています。