平成21年度 春期 ITパスポート試験 問20 解説 BPRの定義
BPRを説明したものはどれか。
- ア 顧客のニーズにきめ細かく対応し,顧客の利便性と満足度を高めるために,企業の情報システムを再構築すること
- イ 企業の活動を,調達,開発,製造,販売,サービスといった側面からとらえ,情報システムを再構築すること
- ウ 企業の業務効率や生産性を改善するために,既存の組織やビジネスルールを全面的に見直して,再構築すること ✓ 正答
- エ 企業の戦略を,四つの視点(財務の視点,顧客の視点,業務プロセスの視点,学習と成長の視点)から再評価し,再構築すること
解説
キーワードから正解を導く
BPR(Business Process Reengineering)の最大の特徴は「抜本的な見直し」と「再設計」です。選択肢の中で「既存の組織やビジネスルールを全面的に見直す」という文言が含まれているものが正解となります。他の選択肢は、それぞれ別の経営手法や概念を説明しているため、キーワードの組み合わせで即座に除外できます。
BPRの定義と本質的な目的
BPRは「ビジネスプロセス・リエンジニアリング」の略です。単なる改善(改善=カイゼン)ではなく、現在の業務プロセスがいかに最適であるかという前提を疑い、顧客ニーズや時代環境に合わせて、ゼロベースでプロセスを組み直すことを指します。
この手法は、ITを活用して業務を単に効率化するだけでなく、組織のあり方や意思決定のルール、部門間の連携手法そのものを再構築します。そのため、小規模な修正ではなく、企業活動全体の抜本的な変革を伴うのが特徴です。
誤答選択肢の整理と背景知識
本問を解くためには、他の用語との違いを整理しておくことが不可欠です。
ア:CRM(Customer Relationship Management) 顧客管理システムを活用して、顧客との関係を深める手法です。顧客満足度の向上に主眼が置かれています。
イ:バリューチェーン(価値連鎖) 製品が顧客に届くまでのプロセス(調達から販売まで)を、どのような活動が価値を付加しているかという視点で分解する考え方です。
エ:バランスト・スコアカード(BSC) 財務的な指標だけでなく、顧客、業務プロセス、学習と成長という4つの視点からバランスよく経営を評価し、戦略を実行するための管理手法です。
実務における知識の構造化
試験では用語の暗記が求められますが、実務の現場ではこれら手法は単独で使われるよりも、組み合わせて活用されます。
たとえば、バリューチェーンを使って「どこにコストや無駄があるか」を可視化した上で、それらを改善するためにBPRでプロセスを再設計し、その新しいプロセスを支えるためにITツール(CRMやERPなど)を導入するという流れが一般的です。
この問題の意図は、企業の変革には「現状の可視化」「抜本的な改革」「戦略的な評価」という異なるアプローチが必要であることを理解しているかを確認することにあります。個々の用語の定義を正しく押さえることは、将来、経営戦略やシステム企画の現場で「いま、どの手法を用いるべきか」を判断する際の基礎体力を養うことにつながります。