平成21年度 春期 ITパスポート試験 問40 解説 インシデント管理の目的
システムの運用管理におけるインシデント管理の目的として, 適切なものはどれか。
- ア IT 資産の構成要素を把握し, 例外使用をしないように管理する。
- イ サービスの中断時間を最小限に抑えて速やかに回復し, サービスの品質を維持す る。 ✓ 正答
- ウ ソフトウェア, ハードウェアからなる IT サービスの実装変更を確実に実施する。
- エ 利用者に対する唯一の窓口として, どのような問合せにも対応することによって サービスを確実に提供する。
解説
インシデント管理は、システムが正常に稼働しなくなった「異常事態」を速やかに解決することを指します。選択肢の中から、「異常の復旧」や「中断時間の短縮」といったキーワードを探すことで、この問題は確実に正解できます。
インシデント管理が果たす役割
ITサービスマネジメント(ITIL)において、インシデントとは「ITサービスの運用を中断させたり、品質を低下させたりするような、計画外の出来事」を指します。具体的には、「メールが送れない」「システムにログインできない」「プリンタが動かない」といったトラブルのことです。
インシデント管理の最大の目的は、これらのトラブルに対して迅速に対処し、ユーザーが受けるサービスへの影響を最小限に抑えることです。根本的な原因を解明する「問題管理」とは異なり、インシデント管理は「とりあえずサービスを元通りに動かす(回復させる)」ことに重点を置いています。
選択肢の判断プロセス
それぞれの選択肢をITILの各管理プロセスと照らし合わせると、正誤が明確になります。
アは「構成管理」の目的です。どのPCが誰に貸し出されているか、どんなソフトウェアが入っているかという情報を正確に把握し、勝手な設定変更(例外使用)を防ぐプロセスです。
イは「インシデント管理」の定義そのものです。サービスが停止した際、一刻も早く復旧させることがミッションです。
ウは「変更管理」または「リリース管理」の目的です。新しいプログラムを本番環境へ適用する際、ミスなく安全に実装するための活動です。
エは「サービスデスク」の役割です。利用者からの問い合わせを一括して受け付ける窓口であり、個別のトラブル対応だけでなく、問い合わせ対応や情報提供など、より広い役割を担います。
IT現場における管理プロセスの使い分け
この問題の教育的意図は、IT運用における管理プロセスの「役割分担」を理解しているかを確認することにあります。
システム障害が発生したとき、現場では以下のような流れで役割が分かれます。
- ユーザーからの通報をサービスデスクが受け付ける。
- インシデント管理プロセスが起動し、迅速に暫定対応を行ってサービスを復旧させる。
- 復旧後、なぜその障害が起きたのかを問題管理プロセスで深掘りし、再発防止策を練る。
- 再発防止策としてシステム修正を行う場合、変更管理プロセスを経て安全にアップデートする。
このように、管理プロセスはバラバラに存在するのではなく、互いに連携してシステム全体の安定性を支えています。インシデント管理は、ITサービスを「止めないための最前線」として、極めて重要な位置づけにあります。