ITパスポート試験 / 平成22年度 秋期 ITパスポート試験 / 問2
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平成22年度 秋期 ITパスポート試験 問2 解説 システム化計画

システム構築プロジェクトを開始するに当たり,“品質”,“コスト”,“納期”の目標 値を設定する段階として,適切なものはどれか。

  1. ア システム化計画の立案 ✓ 正答
  2. イ システム要件の定義
  3. ウ ソフトウェア導入計画の作成
  4. エ ソフトウェア要件の定義

解説

システム構築の最も初期の段階であるシステム化計画の立案において、プロジェクトの全体像を描き、達成すべき品質、予算(コスト)、納期(スケジュール)の枠組みを決定します。これらはプロジェクト全体の成否を判断する指標となるため、具体的な要件を決める前の投資判断のタイミングで設定する必要があります。

プロジェクトの骨組みを作る最初のステップ

システム開発のプロセスは、大きく分けて「企画」「要件定義」「開発」「運用・保守」という流れで進みます。問題文にある品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)の3要素は、プロジェクト管理におけるQCDと呼ばれ、互いにトレードオフの関係にある重要な制約条件です。

システム化計画の立案は、このプロセスの最上流に位置します。経営層の意向やビジネス上の課題を受け、どのようなシステムを、いつまでに、いくらで、どの程度の品質で実現するかという「プロジェクトの器」を作る作業です。この段階で目標値を明確にしなければ、そもそもそのプロジェクトに投資する価値があるかどうかの判断が下せません。

要件定義と計画立案の決定的な違い

選択肢にあるシステム要件の定義(イ)やソフトウェア要件の定義(エ)は、システム化計画の次に行われる工程です。ここでは、計画段階で決まったコストや納期の範囲内で「具体的にどのような機能を盛り込むか」を細かく決定していきます。

もし、要件定義の段階で初めてコストや納期を決めようとすると、ユーザーからの要望が膨れ上がり、予算や時間がいくらあっても足りない状態に陥ります。そのため、まず「システム化計画」で全体の上限や目標を決め、その枠の中に収まるように要件を絞り込んでいくという順序が、プロジェクトを健全に進めるための鉄則です。

QCDという3つの制約条件

システム化計画で設定される目標値には、それぞれ具体的な役割があります。

  1. 品質(Quality) どの程度の信頼性や処理能力を求めるか。例えば、24時間365日止まらないシステムにするのか、あるいは特定の業務時間中だけ動けばよいのかといったレベルを設定します。

  2. コスト(Cost) 開発にかかる費用だけでなく、導入後の運用費用を含めた総予算を検討します。これにより、外部に委託するか自社で開発するかといった手段も決まります。

  3. 納期(Delivery) いつから新しいシステムでの業務を開始するか。法改正への対応や新商品の発売時期など、ビジネス上の節目に合わせて設定されます。

これらの目標値は、プロジェクトが進む中でのあらゆる判断基準になります。例えば、作業が遅れそうになったとき「コストを追加して人員を増やすのか」「機能を削って納期を守るのか」といった判断は、最初に設定したQCDの優先順位に基づいて行われます。

開発現場での活用と実務的な意義

この知識は、単なる試験対策にとどまらず、実際のIT現場での「炎上」を防ぐための基礎教養です。システム化計画の段階でQCDが曖昧なままプロジェクトが動き出すと、途中でゴールが見失われ、工期の遅延や予算不足、品質不足といった問題が必ず発生します。

ITパスポート試験でこの知識が問われるのは、ITを活用する側の人間であっても、開発側の人間であっても、プロジェクトには「動かせない制約」が最初に存在することを理解しておく必要があるからです。経営戦略を具体的なシステムの形に落とし込むための第一歩が、このシステム化計画における目標設定なのです。

参考リンク

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