平成22年度 秋期 ITパスポート試験 問6 解説 ワークフローシステム
ワークフローシステムの活用事例として,最も適切なものはどれか。
- ア 機器を購入するに当たり,申請書類の起案からりん議決裁に至るまでの一連の流れをネットワーク上で行う。 ✓ 正答
- イ 資材調達,生産,販売,物流などの情報を一貫して連携することで,無駄な在庫を削減する。
- ウ 自社と得意先との間で,見積書や注文書などの商取引の情報をネットワーク経由で相互にやり取りする。
- エ 自動車工場の生産ラインにおいて,自工程の生産状況に合わせて,必要な部品を必要なだけ前工程から調達する。
解説
業務の手続きと承認の流れに着目する
この問題を解く鍵は、ワークフローシステムの「ワーク(仕事)」の「フロー(流れ)」という言葉の意味を、組織内での申請や承認の手続きに結びつけることです。選択肢の中から、書類の作成から決裁(最終的な承認)に至るまでの一連のルール化された手順を電子化しているものを選びます。
ワークフローシステムの役割と目的
ワークフローシステムは、これまで紙の伝票や印鑑で行っていた申請、回覧、承認、決裁といった一連の業務プロセスを、ネットワーク上のシステムで実現する仕組みです。
具体的には、以下のような機能を持っています。
- 申請ルートの自動化:誰が申請し、次に誰が確認し、最終的に誰が決裁するかというルートをあらかじめ設定できます。
- 進捗の可視化:現在、誰のところで承認が止まっているか、あるいはどこまで処理が進んでいるかをリアルタイムで把握できます。
- データの蓄積と連携:承認されたデータをそのまま会計システムや人事システムに引き継ぐことができ、再入力の手間やミスを防げます。
選択肢の判別プロセス
選択肢アは、機器の購入という具体的な業務において、起案から決裁までの流れをネットワーク上で行うと述べており、まさにワークフローシステムの定義に合致しています。
他の選択肢がなぜ誤りなのかを確認することで、関連する用語の理解も深まります。
- 選択肢イ(資材調達から物流までの一貫した連携)は、SCM(Supply Chain Management:サプライチェーンマネジメント)の説明です。社内だけでなく、社外を含めた供給の連鎖全体を最適化することを指します。
- 選択肢ウ(自社と得意先との間の商取引情報のやり取り)は、EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)の説明です。企業間で注文書などのビジネス文書を専用の通信形式でやり取りする仕組みを指します。
- 選択肢エ(必要な部品を必要なだけ前工程から調達する)は、JIT(Just In Time:ジャストインタイム)生産方式、またはその道具である「かんばん方式」の説明です。主に製造現場での効率化を目指す手法です。
組織の透明性とスピードを高める技術
ワークフローシステムの知識が実務で重視される理由は、組織のコンプライアンス(法令遵守)と意思決定のスピードアップに直結するからです。
かつての紙文化では、書類が机の中に埋もれてしまったり、承認者が不在で手続きが数日間ストップしたりすることが珍しくありませんでした。また、後から「誰がいつ承認したのか」という履歴を遡って確認することも困難でした。
ITパスポート試験でワークフローシステムが問われるのは、ITを活用して事務作業の停滞を防ぎ、責任の所在を明確にするという、現代的な組織運営の基礎を理解しているかを確認するためです。これは単なる事務効率化の道具ではなく、組織全体のガバナンス(統治)を支える重要なインフラとしての側面を持っています。