ITパスポート試験 / 平成22年度 秋期 ITパスポート試験 / 問8
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平成22年度 秋期 ITパスポート試験 問8 解説 初期投資額の回収年数

設問図

問8 新規システムの構築を,新規開発又はパッケージ採用によって実施する場合の初期 投資額,効果額,運用費,保守料が表のとおりであるとき,初期投資額の回収年数が 最少となるものはどれか。

  1. ✓ 正答

解説

この問題は、投資した費用をどれくらいの期間で回収できるかを計算する回収期間法の考え方を問うています。正解を導くための手順は、まず1年あたりの純粋な利益(キャッシュフロー)を計算し、次に初期投資額をその利益で割ることです。

投資回収の効率を測る計算式

回収年数を求めるには、まずシステムを導入することで毎年いくら手元にお金が残るのか、つまり1年あたりの利益(キャッシュフロー)を算出する必要があります。表にある効果額はプラスの要素ですが、運用費と保守料はマイナスの要素(ランニングコスト)です。したがって、1年あたりの利益は以下の式で求められます。

1年あたりの利益 = 効果額 - (運用費 + 保守料)

この利益を使って、初期投資額を何年でゼロにできるかを計算するのが回収年数です。

回収年数 = 初期投資額 ÷ 1年あたりの利益

選択肢ごとの具体的な計算プロセス

表の数値を用いて、各選択肢の回収年数を計算します。

ア:新規開発 1年あたりの利益:720(240+180)=300720 - (240 + 180) = 300 回収年数:1250÷3004.171250 \div 300 \fallingdotseq 4.17

イ:新規開発 1年あたりの利益:510(170+90)=250510 - (170 + 90) = 250 回収年数:900÷250=3.6900 \div 250 = 3.6

ウ:パッケージ採用 1年あたりの利益:440(120+160)=160440 - (120 + 160) = 160 回収年数:800÷160=5800 \div 160 = 5

エ:パッケージ採用 1年あたりの利益:300(80+120)=100300 - (80 + 120) = 100 回収年数:600÷100=6600 \div 100 = 6

これらを比較すると、イの3.6年が最も短いため、正解はイとなります。

投資判断における回収期間法の重要性

この問題がITパスポート試験で出題される意図は、単に計算能力を試すことではなく、IT投資におけるコストと効果のバランスを多角的に評価する視点を持ってもらうことにあります。

ビジネスの現場では、初期投資額(イニシャルコスト)が低いものほど魅力的に見えがちです。例えば選択肢エは初期投資が600万円と最も安価ですが、毎年の運用費や保守料を差し引いた後の利益が少ないため、結果として投資を回収するまでに6年もかかってしまいます。逆に、選択肢イは初期投資が900万円と中規模ですが、ランニングコストを抑えつつ高い効果を得られる設計になっているため、最も早く投資を回収できるという結果になります。

このように、初期費用だけでなく、運用を含めた全体の費用(TCO:Total Cost of Ownership)と、そこから得られる収益性をセットで考える能力は、IT戦略を立案・評価する上で不可欠な知識です。

リスク管理としての回収年数

回収期間法は、投資の効率性だけでなく、リスク管理の指標としても活用されます。IT業界は技術革新が非常に速いため、構築したシステムが5年後や10年後にも現役で使い続けられる保証はありません。

もし回収に6年かかるプロジェクトを選択し、4年後にそのシステムが陳腐化して使えなくなってしまった場合、投資額の一部は回収できず損失となってしまいます。回収年数が短い投資案を選ぶことは、将来の不確実な変動に備え、より確実かつスピーディに資金を次の投資へ回せるようにするという、戦略的な意味合いも持っています。

参考リンク

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