平成22年度 秋期 ITパスポート試験 問9 解説 データウェアハウス
物流や販売などの部門ごとに散在していた,過去から現在までの全社のデータを統 合して管理することによって,経営戦略の立案に役立てる仕組みはどれか。
- ア データウェアハウス ✓ 正答
- イ データ中心アプローチ
- ウ データマイニング
- エ データモデリング
解説
散在するデータを「統合」し、過去から現在までのデータを「蓄積」し、経営戦略という「意思決定」に役立てる、というキーワードの組み合わせから、データウェアハウス(DWH)を選択するのがこの問題の解法です。
データの倉庫としてのデータウェアハウス
データウェアハウスは、直訳すると「データの倉庫」です。企業内のさまざまな業務システム(販売、在庫、人事など)で発生するデータを、単にバラバラに持っておくのではなく、一つの場所に集めて整理・統合したデータベースを指します。
データウェアハウスには、提唱者であるビル・インモンによって定義された4つの大きな特徴があります。
- 主題(サブジェクト)ごとに構成されている:販売や顧客といった特定の項目ごとに整理されていること。
- 統合されている:異なるシステム間で表記がバラバラなデータ(例:A社と(株)Aなど)を統一して保存すること。
- 時系列である:過去から現在までの履歴を保存し、推移を確認できること。
- 削除・更新をしない:一度入れたデータは原則として書き換えられず、蓄積され続けること。
この問題文にある「部門ごとに散在していたデータを統合する」という点は2番の統合に、「過去から現在まで」という点は3番の時系列に合致しています。
紛らわしい用語との区別
選択肢にはデータに関する似たような用語が並んでいます。これらを正しく区別することが、ITパスポート試験で得点を稼ぐポイントです。
データマイニングは、蓄積された大量のデータの中から、統計的な手法やAIを用いて、それまで気づかなかった「有益な知識や相関関係」を掘り起こす(マイニングする)作業のことです。データウェアハウスが「データの置き場所」であるのに対し、データマイニングは「データの分析手法」を指します。
データ中心アプローチ(DOA)は、システムの設計手法の一つです。業務プロセス(処理)の流れよりも、扱うデータの構造を優先してシステムを設計する考え方を指します。
データモデリングは、現実の世界にあるデータ構造を、コンピュータで扱いやすいように整理・図式化する作業のことです。データベース設計の際にER図(実体関連図)などを作成する工程をイメージするとわかりやすいでしょう。
経営戦略におけるデータ活用の意義
なぜこのような仕組みが必要とされるのでしょうか。かつての企業活動では、各部門がそれぞれの目的でシステムを運用していました。しかし、経営者が「全社の今の状況を把握して、次の戦略を立てたい」と考えたとき、部門ごとにデータがバラバラでは、集計するだけで膨大な時間がかかってしまいます。
そこで、あらかじめ全社のデータを一つの倉庫(データウェアハウス)に集約しておくことで、必要なときに素早く分析結果を取り出し、迅速な経営判断(意思決定)につなげることが可能になります。
現代のビジネスにおいて重要視されているBI(ビジネスインテリジェンス)を実現するための基盤となるのが、このデータウェアハウスという仕組みです。