ITパスポート試験 / 平成22年度 秋期 ITパスポート試験 / 問10
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平成22年度 秋期 ITパスポート試験 問10 解説 派遣社員の就業管理

A 社では,自社で働いている派遣会社 B 社からの派遣社員の就業管理用に,B 社の Web 版の派遣社員就業管理システムをインターネット経由で使用している。このシス テムを用いた当該派遣社員の日常の就業時間の承認者として,最も適切な者はどれか。

  1. ア 派遣先 A 社のシステム管理者
  2. イ 派遣先 A 社の業務責任者 ✓ 正答
  3. ウ 派遣元 B 社のシステム管理者
  4. エ 派遣元 B 社の管理責任者

解説

労働者派遣において「誰が現場で指示を出し、誰が時間を管理するか」という指揮命令系統の原則を理解することが正解への近道です。日常的な業務の指示を出し、その結果として何時間働いたかを確認・承認するのは、実際に業務を共にしている派遣先企業の責任者となります。

労働者派遣における雇用と指揮命令の分離

この問題を解く鍵は、労働者派遣法における特有の契約形態にあります。一般的な直接雇用では、雇用主(給料を払う人)と指揮命令者(仕事を命じる人)は同じ会社です。しかし、労働者派遣ではこの二つが分離しています。

派遣元企業(B社)は、派遣社員と雇用契約を結び、給与を支払う役割を担います。一方で、派遣先企業(A社)は、派遣社員に対して具体的な業務の指示を出す権利(指揮命令権)を持ちます。

派遣社員は派遣先企業のオフィスで、派遣先企業の指示に従って働きます。そのため、その日に何時間働いたのか、残業は適切だったのかといった日常的な就業状況を物理的に確認できるのは、派遣先であるA社の人間だけです。したがって、就業時間の承認者は派遣先A社の業務責任者が務めるのが最も適切です。

選択肢の絞り込みと判断の根拠

選択肢を検討する際、まずはシステム管理者を除外します。ア(A社のシステム管理者)やウ(B社のシステム管理者)は、システムの動作やID管理などに責任を持ちますが、個々の従業員が何時間働いたかという労務管理上の承認を行う立場ではありません。

次に、派遣元か派遣先かの検討です。エ(派遣元B社の管理責任者)は、派遣社員の雇用主側の担当者です。B社は派遣社員に給与を支払うために最終的な就業データを受け取りますが、日々の現場での働きを直接見ているわけではありません。A社で働いている時間はA社の管理下にあるため、現場の実態を知るイ(派遣先A社の業務責任者)が承認を行う必要があります。

もし派遣元の責任者が現場の確認なしに承認を行ってしまうと、実態と異なる勤務時間が報告されるリスクがあり、適切な労務管理が成り立ちません。

偽装請負を防ぐための実務知識

この知識は、単なる試験対策にとどまらず、IT業界や多くのビジネス現場でコンプライアンスを守るために非常に重要です。

例えば「請負契約」と「派遣契約」の違いを判断する際にも、この指揮命令の所在が大きなポイントになります。請負契約の場合、注文主(今回のA社に相当)が作業者に直接指示を出したり、就業時間を管理したりすることは禁止されています。これを無視して直接指示を出してしまうと「偽装請負」という法律違反になります。

ITパスポート試験でこのような問題が出題される背景には、IT現場で多用される派遣や請負といった契約形態の違いを正しく理解し、適切な権限設定や業務フローを設計できる能力が求められているという意図があります。システムの承認フロー一つをとっても、契約形態に基づいた適切な担当者を設定しなければ、法的なトラブルに発展する可能性があるからです。

参考リンク

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