ITパスポート試験 / 平成22年度 秋期 ITパスポート試験 / 問13
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平成22年度 秋期 ITパスポート試験 問13 解説 品質管理の定義

JIS Q 9000 では,品質とは “本来備わっている特性の集まりが,要求事項を満たす程度” と定義されている。この定義に基づいて評価したとき,品質の良い製品として,最も適切なものはどれか。

  1. ア クレームが少なく顧客満足度が高い製品 ✓ 正答
  2. イ 製造を外部に委託せず自社で生産している製品
  3. ウ 設計や製造に CAD/CAM を導入している製品
  4. エ 良質の材料や部品を使用している製品

解説

JIS Q 9000における品質の定義「要求事項を満たす程度」に注目します。品質が良いかどうかを判断する尺度は、作り手のこだわりや高度な技術ではなく、使い手が求めている条件(要求事項)をどれだけ達成できているか、という点にあります。したがって、顧客が満足しており不満(クレーム)が出ていない状態を指す「ア」が正解となります。

品質の定義は「高級さ」ではない

私たちが日常会話で使う品質という言葉は、高級な素材を使っている、あるいは最新の機能が搭載されているといった、スペックの高さを指すことが多いかもしれません。しかし、JIS Q 9000(品質マネジメントシステムー基本及び用語)が定める品質の考え方は、それとは異なります。

この規格において、品質とは対象が備えている「本来備わっている特性」が、顧客や社会などの「要求事項」をどの程度満たしているかを指します。たとえ安価なプラスチック製のボールペンであっても、顧客が「インク詰まりがなく最後まで書ききれること」を求めており、その通りに機能すれば、それは品質が良い製品といえます。逆に、どれほど高価な金を使用した万年筆であっても、インクが漏れて使い手の要求を満たせなければ、それは品質が低い製品とみなされます。

選択肢の分析と評価基準

各選択肢がなぜ正解、あるいは誤りになるのかを、要求事項という視点から整理します。

ア クレームが少なく顧客満足度が高い製品

これが正解です。顧客満足度が高いということは、製品が顧客の期待やニーズ(要求事項)を十分に満たしていることを意味します。クレームが少ないことも、要求事項からの乖離が少ないことを示す指標となります。

イ 製造を外部に委託せず自社で生産している製品

これは生産体制の話であり、品質の定義とは直接関係ありません。自社生産であっても顧客の要求を無視していれば品質は低くなりますし、外部委託(アウトソーシング)であっても徹底した管理のもとで要求通りの製品を作れば品質は高くなります。

ウ 設計や製造に CAD/CAM を導入している製品

これは手段やツールの話です。CAD(コンピュータ支援設計)やCAM(コンピュータ支援製造)は、精度を高めたり効率を上げたりするための道具に過ぎません。これらを使ったからといって、必ずしも顧客の要求を満たす製品になるとは限りません。

エ 良質の材料や部品を使用している製品

これは入力(インプット)の質の良さです。良質な材料を使うことは品質を高めるための一助にはなりますが、それ自体が品質の定義ではありません。例えば、どんなに良い食材を使っても、客が求めている味付けと異なっていれば、料理としての品質(要求事項の充足度)は低いと評価されます。

IT現場における品質管理の重要性

この問題がITパスポート試験で出題される意図は、システム開発やサービス運用において、独りよがりの技術追求に陥らないようにするためです。

ITの世界でも、エンジニアが最新の技術や複雑なアルゴリズムを取り入れることに熱中してしまうことがあります。しかし、利用者が「シンプルで迷わずに操作できること」を求めているのであれば、多機能で複雑なシステムは、たとえバグがなくても品質が良いとは言えません。

開発の初期段階で行う要件定義において、顧客が何を求めているのか(要求事項)を明確にし、完成したシステムがその要件をどれだけ実現できているかを検証する。このプロセスこそが、品質マネジメントの本質です。この知識は、プロジェクトマネジメントやソフトウェアテストの考え方を理解する上での基礎となります。

参考リンク

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