平成22年度 秋期 ITパスポート試験 問45 解説 ソフトウェア開発手法
ソフトウェア開発で利用する手法に関する記述 a〜c と名称の適切な組合せはどれか。 a 業務の処理手順に着目して,システム分析を実施する。 b 対象とする業務をデータの関連に基づいてモデル化し,分析する。 c データとデータに関する処理を一つのまとまりとして管理し,そのまとまりを組み 合わせて開発する。
- ア
- イ
- ウ
- エ ✓ 正答
解説
この問題は、ソフトウェア開発における「設計の着眼点」がどこにあるかを見極めることで正解を導き出せます。
各記述に含まれるキーワードを、以下の対応関係で判断してください。
- 処理手順、手続き → プロセス中心アプローチ
- データ構造、データの関連 → データ中心アプローチ
- データと処理の一体化、まとまり → オブジェクト指向
この判断に基づくと、aはプロセス中心アプローチ、bはデータ中心アプローチ、cはオブジェクト指向となります。したがって、これらがすべて合致している選択肢エが正解となります。
開発手法の違いとキーワード
ソフトウェア開発の手法には、システムをどのように捉えて設計するかという思想の違いがあります。
プロセス中心アプローチ(Process-Oriented Approach)は、システムを「入力されたデータがどのような手順で変換され、出力されるか」という流れ(プロセス)として捉える手法です。昔のプログラム開発では、機能単位で処理を記述することが一般的だったため、この考え方が主流でした。
データ中心アプローチ(Data-Oriented Approach)は、システムを「どのようなデータが保持され、それらがどう関連し合っているか」というデータの構造を中心に捉える手法です。システムが変わってもデータ構造は安定していることが多いため、長期間メンテナンスしやすいシステムの構築に適しています。
オブジェクト指向(Object-Oriented)は、データと、そのデータを扱う処理を「オブジェクト」という一つの部品としてまとめて管理する手法です。現実世界に近い形(例:自動車というオブジェクトは、色というデータと、走る・曲がるという処理を併せ持つ)でモデリングするため、プログラムの再利用性や拡張性が高まるという利点があります。
試験問題における思考の組み立て方
本問のような「手法と説明の組み合わせ」を問う問題は、各手法の核となる単語を紐づけるのが最も効率的です。
- 記述 a を読むと「処理手順」という言葉がある。選択肢の中でプロセスに関係するのはプロセス中心アプローチである。
- 記述 b を読むと「データの関連」という言葉がある。データという単語がそのまま含まれているデータ中心アプローチを選択する。
- 記述 c を読むと「データと処理を一つのまとまりとして管理」とある。これはオブジェクト指向の定義そのものである。
このように、文章の中にある「ヒントとなる単語」を確実に拾い上げることが、迷わず正解を選ぶための近道となります。
実務現場における開発手法の重要性
システム開発において、どの手法を採用するかは非常に重要です。現代のシステム開発ではオブジェクト指向が主流ですが、小規模なスクリプト開発ではプロセス中心アプローチ的な記述が適している場合もありますし、データベース中心の基幹業務システムではデータ中心アプローチの考え方が不可欠です。
特に、設計段階で「処理の流れ」ばかりを意識しすぎると、データの構造が整理されず、後からデータを追加・変更するのが非常に困難なシステムになってしまうことがあります。逆に、「データ」をしっかりと定義してから処理を設計することで、将来的な機能拡張にも強いシステムを作ることが可能になります。こうした設計思想の違いを知っておくことは、将来エンジニアやプロジェクトマネージャとして活躍する際に、設計の妥当性を評価する強力な武器となります。