平成22年度 春期 ITパスポート試験 問21 解説 システム投資の採算性
システム開発案件A,B,Cのうち,採算性があるものはどれか。ここで,採算検討 の対象期間はシステムのサービス開始後の5年目までとし,サービス開始後は,毎年, システムのメンテナンス費用が初期投資額の10%発生するものとする。
- ア AとB ✓ 正答
- イ BとC
- ウ CとA
- エ AとBとC
解説
採算性があるかどうかは、5年間の利益がプラスになるかを確認します。以下の手順で各案件の収支を計算します。
- 5年間の合計利益 = (毎年のシステム効果 × 5) - (初期投資額 + メンテナンス費用)
- メンテナンス費用 = 初期投資額 × 10% × 5年 = 初期投資額 × 0.5
計算式にあてはめると以下のようになります。 A: (プラス) B: (プラス) C: (マイナス)
結果として、採算性があるのはAとBです。
採算性と投資判断の考え方
IT投資において、単にシステムを作るだけでなく「その投資によっていくらの効果が得られるか」を評価することは非常に重要です。この問題で使われている考え方は、費用便益分析の基礎となるものです。
システム開発には、最初に支払う「初期投資額」だけでなく、運用期間中に継続してかかる「保守・メンテナンス費用」が発生します。この問題では、保守費用が初期投資額の半分(10% × 5年)かかるという前提を忘れないことがポイントです。
数値を整理する思考ステップ
実際の試験では、以下の手順でミスを防ぎながら解くのがおすすめです。
- 変数の整理: 初期投資額を 、毎年の効果を と置きます。
- 式の簡略化: 5年間の収支は と表せます。
- 当てはめ: A, B, Cそれぞれの数値をこの式に代入します。
- A:
- B:
- C:
このように式を一本化することで、計算の手間を減らし、ケアレスミスを防ぐことができます。
ビジネス現場での活用
ITパスポート試験で問われるこの概念は、実際の業務でも「IT投資評価」として不可欠です。新しいソフトウェアを導入したり、社内システムを刷新したりする際、経営層は必ずROI(投資利益率)を問います。「作ったはいいが、維持費が高すぎて赤字」という事態を避けるために、開発前にこうした試算を行うことはITエンジニアにとっても重要なスキルです。
特に近年では、クラウド利用料金などのランニングコストが無視できないため、開発費だけでなく運用フェーズを含めたライフサイクルコストで収支を考える視点が求められています。