平成22年度 春期 ITパスポート試験 問22 解説 ハウジングサービスの効果
ハウジングサービスを利用することによって得られる効果として,最も適切なものは どれか。
- ア 業務アプリケーションの利用,導入,更新に関する費用を低減することができる。
- イ サーバの購入費用や運営負荷,ネットワークに関する費用を低減することができる。
- ウ サーバや社内のコンピュータのOSやオフィスソフトの更新作業を回避することができる。
- エ 自社サーバによるサービス提供に必要なネットワークや施設に関する費用を低減することができる。 ✓ 正答
解説
ハウジングサービスとホスティング・クラウドの違いを見極める
ハウジングサービスとは、データセンターに自社のサーバを物理的に持ち込んで設置・運用するサービスです。この問題を解く鍵は、自社で用意するもの(サーバ本体)と、他社(データセンター)から借りるもの(場所、電源、空調、回線)の境界線を明確にすることです。
正解のエが最も適切な理由は、ハウジングサービスの本質が「物理的な設置場所と周辺環境(ファシリティ)の賃貸」にあるからです。サーバ自体は自社の所有物であるため、購入費用まで低減するわけではありません。
ハウジングサービスが提供する価値
ハウジングサービスは、自社でサーバを稼働させる際に必要となる以下のインフラ設備をデータセンターが提供するサービスです。
- 堅牢な建物と耐震設備
- 安定した電源設備(無停電電源装置や予備電源)
- 空調設備(サーバの冷却)
- 高速かつ冗長化されたネットワーク回線
- 物理的なセキュリティ対策(入退室管理など)
これらを自社で維持しようとすると、建物代、電気代、空調維持費、回線契約料といった莫大なコストがかかります。これらを共有設備として共同利用することでコストを抑えるのがハウジングの目的です。
誤った選択肢を排除する思考法
選択肢ごとの比較を行うことで、サービスの境界線を理解できます。
アの「業務アプリケーションの利用・更新に関する費用を低減」は、SaaS(Software as a Service)などのクラウドサービスの特徴です。ハウジングではサーバの中身(OSやアプリ)はすべて自社で管理するため、この効果は得られません。
イの「サーバの購入費用を低減」が不適切な理由は、ハウジングサービスではサーバのハードウェアそのものは自社で購入・所有する必要があるからです。ここが、サーバごと借り受けるホスティングやクラウドサービスとの決定的な違いです。
ウの「OSやオフィスソフトの更新作業を回避」も、自社管理のサーバを使うハウジングではあてはまりません。OSのパッチ適用やアプリの更新は、すべて自社のIT管理者が行う必要があります。
この知識が求められる場面
この問題の教育的意図は、企業がITインフラを構築する際に選択する「保有・運用形態(オンプレミス、ハウジング、ホスティング、クラウド)」の違いを理解させることにあります。
実務においては、単に「コスト削減」という言葉だけでITサービスの導入を判断してはいけません。
- ハードウェアの所有権を自社に残したいのか(ハウジング)
- ハードウェアの管理から解放されたいのか(ホスティング、クラウド)
- アプリケーションの保守まで任せたいのか(SaaS)
これらを明確に区別し、自社の要件に合ったインフラ形態を選択できる能力が、情報システムを統括するIT人材には不可欠です。