平成22年度 春期 ITパスポート試験 問28 解説 投資採算性の評価
導入を検討している機械について採算性の評価を行う。評価には予想される費用と, 期待される利益を対比する方法を用いる。採算評価の期間は10年間であり,導入によ って,毎年110万円の利益を得られる。また,保守費用として毎年取得費用の1%が 発生する。この機械の取得費用が何万円未満であれば,採算がとれるか。
- 1,000 ✓ 正答
- 1,100
- 1,111
- 1,222
解説
この問題は、10年間で発生する総利益が総費用を上回る条件を方程式で導き出すことで解決します。
計算手順の組み立て方
取得費用を 万円と置きます。このとき、10年間の採算がとれる条件は「10年間の利益合計 - 10年間の保守費用合計 ≧ 取得費用」という不等式で表せます。
- 10年間の利益: 万円
- 10年間の保守費用: 万円
- 不等式:
- 式の整理:
- について解く:
したがって、取得費用が1,000万円未満であれば、利益が費用を上回り、採算がとれることになります。
投資判断における考え方の基礎
この問題は、設備投資の意思決定における「損益分岐点」の考え方を問うています。ビジネスの現場では、何か新しい設備やシステムを導入する際、「その投資によって得られる回収額(ベネフィット)が、支払うコスト(イニシャルコスト+ランニングコスト)を上回っているか」を判断しなければなりません。
本問で重要となるのは、保守費用が取得費用に連動するランニングコストとして定義されている点です。投資評価では、購入金額だけを見て判断しがちですが、実際には維持管理費などの運用期間全体にかかる費用を考慮する必要があります。この「ライフサイクル全体で費用を見る」という視点は、ITパスポート試験のマネジメント分野で頻出する重要な概念です。
投資評価が現場で意味するもの
企業活動において、経営層や部門長は常に「このプロジェクトに投資する価値があるか」という判断を迫られます。例えば、新しいサーバーを導入する場合、サーバー自体の価格だけでなく、電気代、保守契約費、人件費など、数年間にわたって発生する費用をすべて積み上げなければなりません。
試験の設問としては単純な一次方程式ですが、現実のIT投資管理では、時間経過によるお金の価値の変化(割引率)などを考慮する手法(NPV法:正味現在価値法など)が用いられることもあります。この問題は、そうした複雑な評価手法の入り口として、「期間全体での収支バランスを把握する」という基本的な思考訓練の場といえます。