平成22年度 春期 ITパスポート試験 問33 解説 システムテストの不具合
ある開発プロジェクトでソフトウェア結合テストを終了し, システムの機能を確認するシステムテストを行っている。このシステムテストで, あるプログラムに不良が多発しているとの報告があった。プロジェクトマネージャが最初に行うべきこととして, 最も適切なものはどれか。
- ア システムテストを中断し, ソフトウェア結合テストからやり直す。
- イ テストの進捗に遅れが出ないようにするために, 問題のあるプログラムのテスト要員を増やす。
- ウ 問題のあるプログラムの品質を再評価し, システムテストへの影響を把握する。 ✓ 正答
- エ 問題のあるプログラムをテスト対象から外し, プログラムを再作成する。
解説
不具合多発時の冷静な現状分析
この問題の判断基準は「現状の不確実性に対して、どのような手順で対処するのがプロジェクト管理として適切か」という点にあります。いきなり作業を戻したり、要員を投入したりする前に、まずは「何が起きているのか」「どこまで影響があるのか」を客観的に判断するのがプロジェクトマネージャの定石です。
プロジェクトマネジメントの基本姿勢
プロジェクトマネジメントにおいて、予期せぬ問題が発生した際に最も避けるべきは、感情的な判断や根拠のない付け焼き刃の対応です。
システムテストで特定のプログラムに不良が多発するということは、そのプログラムの設計や製造工程に根本的な欠陥がある可能性を示唆しています。このとき、漫然とテストを続ければ納期遅延や予算超過を招き、無計画に要員を増やせばコミュニケーションコストが増大し、かえって品質が悪化する恐れさえあります。
正解の選択肢である「品質の再評価」と「影響範囲の把握」は、問題解決の第一歩です。具体的には以下のような手順で状況を整理します。
- 現状確認:不具合の発生傾向を分析し、単なるケアレスミスなのか、ロジックの欠陥なのか、あるいは設計書自体の誤りなのかを切り分けます。
- 影響分析:そのプログラムに依存している他機能への波及効果や、リリース予定日までに修正と再テストが間に合うのかを試算します。
- 戦略決定:分析の結果に基づき、テスト工程のスケジュールを調整するのか、設計を一部見直すのか、あるいは暫定的な回避策をとるのかといった次の一手を決定します。
現場で求められる状況判断能力
この問題は、ITパスポート試験において「プロジェクトマネジメントのプロセス」を問う典型的な出題です。実務の現場では、問題が起きた際に「まず報告して、次に分析し、最後に判断する」という一連の流れが求められます。
選択肢の誤りについても、その不適切さを理解しておくことが重要です。 ・テストの中断ややり直しは、コストと時間の多大な損失を招くため、影響度を確認しないまま行うべきではありません。 ・要員の追加は、進捗が遅れてから行うのではなく、追加による生産性向上とコスト増加のバランスを考慮して慎重に行うべき手段です。 ・再作成は、根本的な原因が特定されない限り、同じ過ちを繰り返すリスクがあります。
このように、この問題は「事象に対していきなり解決策へ飛びつかず、まずは状況を正しく診断する」という、論理的な思考プロセスを問うています。この考え方はソフトウェア開発だけでなく、日々の業務改善やトラブル対応全般において極めて重要な視点です。