平成22年度 春期 ITパスポート試験 問90 解説 WBSの作業分解
作業分割の図では, 最初の段階でシステム開発作業全体にかかわるものとサブシステムに着目して分割している。Sさんが図のサブシステムごとに, 次の段階で行った作業分割の説明として, 適切なものはどれか。
- 開発の工程別に作業分割した。 ✓ 正答
- システム要件定義の項目ごとに作業分割した。
- ソフトウェアごとに作業分割した。
- モジュールごとに作業分割した。
解説
正解の選択肢を選ぶためのポイントは、WBS(作業分解構成図)の階層構造における「段階的な詳細化」というルールを理解することです。最初の段階で「サブシステム」という全体構造に分けた後、次の段階では、それら各サブシステムに対して「どのような作業手順で進めるか(=工程)」を適用して分解していくのが、システム開発の一般的な手順となります。
WBSの階層構造が意味するもの
WBS(Work Breakdown Structure)は、プロジェクト全体を構成要素ごとに階層的に分解していく手法です。この図において重要なのは、上位階層から下位階層に向かって抽象度が下がり、具体的な作業単位へと細分化されていくというルールです。
最初の階層でシステム全体を「サブシステム(機能のまとまり)」に分けた場合、次の階層ではそれらに対して、「要件定義、設計、製造、テスト」といった工程を割り当てるのが最も論理的です。なぜなら、各サブシステムを完成させるためには、どの機能においても共通して開発工程を踏む必要があるからです。
段階的な分解の思考プロセス
この問題を解く際には、以下の思考プロセスを辿ります。
- 現状の把握:図の第1階層が「サブシステム(機能グループ)」である。
- 次のステップの検討:各サブシステムに対して、何を具体的に行う必要があるかを考える。
- 整合性の確認:システム開発では、どのサブシステムに対しても共通のライフサイクル(工程)が必要である。したがって、サブシステムの次に「工程」を置くことで、進捗管理や工数見積もりが容易になる。
仮に他の選択肢を選んだ場合、「モジュール」や「ソフトウェア」はさらに下の階層に位置する詳細な要素であり、いきなりサブシステムの直下に並べるには細かすぎます。まずは「どの工程で行うか」という枠組みを決めるのがプロジェクト管理の鉄則です。
プロジェクトマネジメントにおける活用の意義
この問題が意図しているのは、複雑なプロジェクトを管理可能なレベルまで「構造化する力」を養うことです。現場でWBSを作成する際、いきなり細かい作業項目(コードを書く、テストをする等)から書き始めてしまうと、作業の抜け漏れが発生しやすくなります。
まず大きな塊(サブシステム)で整理し、次に作業の流れ(工程)で縦軸を揃え、最後に具体的なタスクへと分解していく。この「トップダウンアプローチ」を理解しておくことは、試験合格のためだけでなく、実務でプロジェクトの全体像を把握し、メンバー間で共通認識を持つためにも非常に重要なスキルとなります。