平成24年度 秋期 ITパスポート試験 問2 解説 DFDの記述例
業務プロセスのモデリングに用いられるDFDの記述例として,適切なものはどれか。
- ア. ✓ 正答
- イ.
- ウ.
- エ.
解説
DFD(データフロー図)を判別する最大のポイントは、データの流れを「丸(プロセス)」と「矢印(データフロー)」で表現しているかを見ることです。選択肢アは、処理を表す丸の間をデータが流れる様子を矢印で結んでおり、DFDの典型的な構造を示しています。
DFDを構成する4つの基本要素
DFDは業務プロセスやシステム内でのデータの動きを視覚化するための図法です。主に以下の4つの記号を用いて記述されます。
- プロセス(丸):データを加工したり、別の形に変換したりする処理を表します。
- データフロー(矢印):データが移動する経路と方向を表します。
- データストア(平行線):ファイルやデータベースなど、データが一時的または恒久的に保存される場所を表します。
- 外部実体(四角):システムの外部にあり、データの発生源(入力元)や出力先となる人や組織を表します。
選択肢アの図は、これらの中でも特にプロセスとデータフローに着目して、業務の連鎖をモデル化したものです。
他の選択肢との比較で見極める
試験でDFDの問題が出た際は、他の有名な図法と混同しないように消去法を活用するのが効率的です。
選択肢イは、丸(プロセス)と平行線(データストア)が組み合わされていますが、図全体の構造としてデータの連鎖的な流れを表現するアの方が、DFDの代表的な例示として選ばれる傾向にあります。
選択肢ウは、最上位の要素から下位へと枝分かれしていくツリー構造をしています。これは一般的に「機能構成図(階層構造図)」や「組織図」などで用いられる形式です。データの流れではなく、情報の分類や構成を示しています。
選択肢エは、中央の大きな矢印(背骨)に向かって斜めの線(孫骨)が集まってくる形をしています。これは「特性要因図(フィッシュボーンチャート)」と呼ばれるもので、ある結果(特性)に対してどのような原因(要因)が影響しているかを分析するためのツールです。
業務分析におけるDFDの役割
DFDを学ぶ意義は、複雑な業務を「データの受け渡し」という客観的な視点で整理できる点にあります。
例えば、新しいシステムを導入する際、現場の担当者が「具体的にどんな手順で仕事をしているか」をヒアリングします。その際、単に手順を箇条書きにするだけでは、どこでデータが滞っているか、どのデータが重複しているかが見えにくいことがあります。
DFDを使って「注文書というデータが、受注処理プロセスを経て、在庫データストアに照会され、出荷指示書というデータに変わる」という流れを可視化することで、業務の無駄や改善点を論理的に特定できるようになります。このように、ITエンジニアと現場のユーザーが共通認識を持つためのコミュニケーションツールとして、DFDは要件定義のフェーズで非常に重宝されます。
flowchart LR
A["外部実体\n(顧客)"] -- "注文情報" --> B["プロセス\n(受注処理)"]
B -- "受注データ" --> C["データストア\n(注文台帳)"]
B -- "在庫照会" --> D["プロセス\n(在庫確認)"]