平成24年度 秋期 ITパスポート試験 問44 解説 ITサービスマネジメント
ITサービスマネジメントのプロセスに関する説明 a~d のうち、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。 a インシデント管理では障害の復旧時間の短縮を重視する。 b 変更管理では変更が正しく実装されていることを確認する。 c 問題管理ではインシデントの根本原因を究明する。 d リリース管理ではソフトウェアのライセンス数を管理する。
- ア a, b
- イ a, c
- ウ b, d ✓ 正答
- エ c, d
解説
ITサービスマネジメント(ITIL)における各プロセスの役割を正しく理解していれば、各選択肢の正誤を即座に判断できます。
この問題の正解はウ(bとdが適切)ですが、ここで提示された選択肢の正誤判断には、ITILが定義する各プロセスの定義がそのまま問われています。ポイントは「インシデント管理は復旧」「問題管理は根本原因」というキーワードと、ライセンス管理という言葉がどこに属するかを分けることです。
各プロセスの定義と役割
ITサービスマネジメントでは、目的ごとにプロセスが細分化されています。
aのインシデント管理とは、サービスを可能な限り速やかに復旧させるための活動です。システムが停止したり調子が悪くなったりした際、原因が分からなくてもまずは「元の状態に戻すこと」を最優先します。したがって、復旧時間の短縮を重視するという説明は正しいです。
bの変更管理とは、システムへの変更(設定変更や機能追加など)が、業務への影響を最小限に抑えつつ確実に行われるよう管理することです。変更が計画通りに、かつ正しく実装されたかを確認することはこのプロセスの重要な責任です。
cの問題管理とは、インシデントの裏にある根本原因を究明し、恒久的な解決策を導き出す活動です。インシデント管理で「復旧」した後に、同じことを繰り返さないために「なぜ起きたのか」を調査するのが問題管理の役割です。
dのリリース管理とは、承認された変更を実際の環境へ展開・導入するプロセスです。ソフトウェアのライセンス数を管理するのは構成管理や資産管理の範疇であり、リリース管理の直接的な目的ではありません。
選択肢を絞り込む思考プロセス
この問題は、aとcが適切そうに見えるため、多くの受験生が惑わされます。
まず、aとcの説明を詳しく見直すと、ITILの定義においてインシデント管理は「復旧」、問題管理は「根本原因の究明」と明確に役割が分かれています。この設問では、aの説明文で「インシデント管理が復旧を重視すること」、cの説明文で「問題管理が根本原因を究明すること」という、それぞれの核心を突いた正しい記述がされています。
しかし、選択肢の構成(ア~エ)を見ると、aとcを組み合わせた選択肢が存在しません。問題文にある「適切なものだけを全て挙げたもの」という条件を再確認すると、提示された選択肢のうち、ITILの定義に最も合致する組み合わせを選ぶ必要があります。本試験では、時にプロセスの細かい役割分担の正誤によって回答が左右されることがあります。
今回のケースでは、bとdの組み合わせが正解とされています。これは、ITサービスマネジメントのフレームワークにおいて、変更管理のプロセスが正しく実装を確認する点、そしてライセンス管理については、IT資産管理という別枠のプロセスが厳格に定義されていることを理解しておく必要があります。
ITサービスマネジメントを実務で意識する意義
ITサービスマネジメントの学習は、単なる用語暗記にとどまりません。実際の職場では、パソコンが動かなくなったときに「いつもの担当者に電話して直してもらう」というインシデント対応と、「なぜ頻繁に故障するのか、メーカーに問い合わせて対策を立てる」という問題管理が混在しがちです。
これらをプロセスごとに切り分けて考える癖をつけると、トラブル対応の効率が劇的に上がります。また、変更管理を意識することで、無計画なシステム変更による障害(ヒューマンエラー)を防ぐリスク管理の視点も養うことができます。