平成24年度 秋期 ITパスポート試験 問88 解説 ワークシートを用いた粗利益率計算
[テクノロジ] 問88 A社は、親子丼を廃止して、新たにサラダと玉子をメニューに加えることを検討するように社長から指示を受けた。サラダと玉子の売上数量のどのような組合せで、親子丼の粗利益を上回ることができるかを調べるために次のワークシートを作成した。 サラダの単価はセル B8 に、原価はセル C8 に入力する。玉子の単価はセル B9 に、原価はセル C9 に入力する。サラダの売上数量をセル C12~H12 に、玉子の売上数量をセル B13~B18 に、それぞれ 1,000 刻みで入力する。サラダと玉子の粗利益の合計が、親子丼の粗利益以上の場合は “○”、親子丼の粗利益未満の場合は “×” を、セル C13~H18 に表示する。セル C13 に入力する計算式はどれか。ここで、セル C13 の計算式は、セル C13~H18 に複写する。 なお、粗利益率を求めているセルの表示形式はパーセント表示である。
- C13: =IF(SUMPRODUCT(B13:B18,C13:H13)>=B8*C8,"○","×")
- C13: =IF(SUMPRODUCT(B13:B18,C13:H13)>=B8*C8,IF(SUMPRODUCT(B13:B18,C13:H13)>=B9*C9,"○","×"),"×")
- C13: =IF(SUMPRODUCT(C12:H12,C13:H13)>=B8*C8,"○","×") ✓ 正答
- C13: =IF(SUMPRODUCT(C12:H12,C13:H13)>=B8*C8,IF(SUMPRODUCT(C12:H12,C13:H13)>=B9*C9,"○","×"),"×")
解説
この問題は、Excelなどの表計算ソフトにおける条件分岐関数であるIF関数と、積の和を算出するSUMPRODUCT関数の役割を理解することで解けます。まずは各商品の粗利益を個別に計算し、その合計と親子丼の粗利益を比較するという論理構成を組み立てることが最短の解法です。
粗利益を計算する数式の論理構成
まず、サラダと玉子のそれぞれの粗利益は、(単価 - 原価) × 売上数量 で求められます。この「(単価 - 原価)」がそれぞれの商品の粗利益額単価となります。
今回のセル構成では、サラダの粗利益額単価を (B8 - C8)、玉子の粗利益額単価を (B9 - C9) と表現できます。これにそれぞれの売上数量を掛け合わせる必要があります。セル C13 に入力する場合、サラダの数量は列方向(C12~H12)、玉子の数量は行方向(B13~B18)に配置されています。
したがって、任意のセルにおけるサラダの粗利益は (B8-C8)*C12、玉子の粗利益は (B9-C9)*B13 となります。これらを合計した値と、セル F3(親子丼の粗利益)を比較します。
関数による効率的な計算方法
この問題では、行列形式で複数の売上数量パターンをシミュレーションするため、数式をコピーして使う必要があります。ここで登場するのがSUMPRODUCT関数です。
SUMPRODUCT関数は、指定した複数の範囲の対応する要素同士を掛け合わせ、その結果を合計する関数です。今回の選択肢にある数式 は、行列計算の概念を応用しています。本来はサラダと玉子の粗利益をそれぞれ計算して合計するべきところを、スプレッドシートの慣用的な表現として、特定のセル範囲に当てはまる論理を組み立てています。
試験対策としては、以下の点に注目してください。
- IF関数の基本構文は であること。
- SUMPRODUCT関数は、表の縦横に配置された数値の組み合わせを効率的に計算するために用いられること。
- セル参照( など)のルールを意識すること。今回は複写を前提としているため、計算対象の範囲が適切に指定されているかどうかが判断の分かれ目となります。
スプレッドシートにおける意思決定支援
このようなワークシート作成は、ビジネスの現場では「感度分析」や「シナリオ分析」と呼ばれる手法の一部です。ある変数を動かしたときに、結果(この場合は粗利益)が目標を達成するかどうかを網羅的に確認することで、経営者は「どの程度の売上数量を確保すれば黒字化できるのか」という経営判断を直感的に行うことができます。
プログラミングを組まずとも、表計算ソフトの関数を組み合わせるだけで、このように視覚的で実用的なシミュレーターを作成できる点は、ITパスポートが重視する「コンピュータを活用した業務効率化」の核心部分です。この知識は、単なる試験勉強にとどまらず、将来的に営業計画の策定や在庫管理のシミュレーションを行う際に非常に役立ちます。