平成24年度 秋期 ITパスポート試験 問91 解説 システム導入検討会のメモ
[マネジメント] 問91 システム導入検討会のメモ (5) の "申請書類の計算ミスが多く、承認まで に時間が掛かっている。" の原因を調べたところ、合計計算の単純な誤りで、通知さ れた申請書類を申請者が修正して再度提出しているので、承認までに時間が掛かっ ていることが分かった。これを改善するためにシステムがもつべき機能として、適 切なものはどれか。
- ア 申請後に、計算ミスがある申請を検索できる機能
- イ 申請時に、必要な計算を自動的に行う機能 ✓ 正答
- ウ 申請者が、電卓機能をもったソフトウェアを使えるようにする機能
- エ 申請を承認する上司が、計算ミスを修正することができる機能
解説
根本原因を解消する仕組みを見極める
この問題は、業務上の課題に対して、システムがどのような機能を実装すべきかという「改善策の妥当性」を問うものです。計算ミスによる手戻りを減らすためには、ミスが起きた後の対処ではなく、そもそもミスが発生しない仕組みをシステムに組み込むことが重要です。
なぜ自動計算機能が最善の解決策なのか
システム導入の目的は、業務の効率化と品質の向上です。今回の事例では、以下のプロセスで無駄が発生しています。
- 申請者が手計算や手動入力で書類を作成する(ここで計算ミスが発生)
- 承認者が書類を確認し、ミスを発見する
- 申請者に差し戻しを行い、再度提出させる(ここで時間がかかる)
選択肢イの「申請時に必要な計算を自動的に行う機能」を導入すると、計算プロセスがシステム化されます。人間が手計算を行う必要がなくなるため、単純な計算ミスは構造的にゼロになります。結果として、修正・再提出という手戻り作業自体が消滅し、承認までの時間を大幅に短縮できます。
選択肢の検討と誤りのポイント
ほかの選択肢がなぜ不適切なのか、その理由を考えることは、ITパスポートのマネジメント分野における思考訓練になります。
- アの「検索機能」は、計算ミスがあるかどうかを確認する手間を増やすだけです。ミスの発生を未然に防ぐことにはなりません。
- ウの「電卓機能」は、結局は人間が入力して計算を行うため、入力ミスや操作ミスを完全に排除できません。効率化としては不十分です。
- エの「上司が修正できる機能」は、上司の作業負荷を増やしてしまいます。また、修正のやり取りが繰り返される可能性があり、根本的な解決になりません。
システムによる業務改善においては、人間が介在する余地を減らし、自動化によって信頼性を高めるという視点が非常に重要です。
業務改善におけるシステム設計の考え方
この問題の教育的意図は、単なるツールの導入ではなく、プロセスのどこにボトルネック(時間の浪費要因)があるかを特定し、そこをピンポイントで解消するシステム設計の視点を養うことにあります。
実務の現場でも同様の考え方が求められます。例えば、ECサイトで住所を入力する際に郵便番号から住所を自動入力する機能や、経費精算システムで合計金額を自動計算する機能などは、まさに今回の問題と同じ発想で実装されています。これらの機能は、ユーザーの負担を減らすだけでなく、システム側が持つ正確なデータによってデータの整合性を保つ役割も果たしています。
システムが持つべき機能は「不具合を直す機能」よりも「不具合を発生させない仕組み」を優先して考えるのが、マネジメントにおける定石です。