平成25年度 秋期 ITパスポート試験 問13 解説 連結財務諸表
親会社が,子会社を含めた企業集団の一会計期間の収益と費用の状態を示した連結財務諸表はどれか。
- ア 連結株主資本等変動計算書
- イ 連結キャッシュフロー計算書
- ウ 連結損益計算書 ✓ 正答
- エ 連結貸借対照表
解説
「収益と費用」というキーワードに着目します。財務諸表のうち、期間中の利益獲得のプロセス(収益と費用)を示すものは「損益計算書」であるため、正解はウとなります。
財務諸表における役割の分類
企業が作成する財務諸表には、主に以下の2つの視点が存在します。
・経営成績を表すもの:ある一定期間の収益、費用、そして結果としての利益を示すもの。これが損益計算書(P/L)です。 ・財政状態を表すもの:ある一時点における資産、負債、純資産の状態を示すもの。これが貸借対照表(B/S)です。
連結財務諸表においてもこの役割分担は変わりません。連結とは、親会社と子会社を一つの大きな企業集団とみなして財務諸表を作成することを指します。したがって、連結損益計算書は、企業集団全体として期間内にどれだけ稼ぎ、どれだけコストがかかったかを示す書類となります。
選択肢の判断プロセス
問題文にある「収益と費用」という言葉が、そのまま「損益計算書」を指し示しています。他の選択肢は以下の役割を持つため、今回の問いには合致しません。
・連結貸借対照表(エ):一時点における「資産・負債・純資産」の状態を示します。「収益と費用」ではなく「財政状態」を知りたい場合に使用されます。 ・連結キャッシュフロー計算書(イ):一定期間における「現金の流れ(資金の増減)」を示します。現金の出入りに注目する書類であり、会計上の収益・費用とは集計のタイミングが異なります。 ・連結株主資本等変動計算書(ア):純資産の部がどのように変化したかを示す書類です。配当の支払いや増資など、株主に関わる資本の動きに焦点を当てています。
経営分析における活用の意義
ITパスポートでこれらの知識が問われる背景には、IT投資やシステム開発が企業の経営成績にどのような影響を与えるかを理解してほしいという意図があります。
例えば、基幹システムを刷新して業務効率化を図った場合、その効果は「費用が削減された」として損益計算書に現れます。逆に、システム構築にかかった費用を資産として計上し、数年に分けて償却する判断をした場合は、貸借対照表の資産の部に影響を与えます。
ビジネスパーソンが経営層にIT活用の提案を行う際、「この施策が財務諸表のどこにインパクトを与えるのか」を理解していると、説得力が大きく向上します。単なる記帳の知識としてではなく、企業の「健康状態」を診断するツールとして財務諸表を読み解くことが、DX時代に求められるITスキルの重要な一端となっています。