平成25年度 秋期 ITパスポート試験 問26 解説 TOBの定義
TOBの説明として,適切なものはどれか。
- 買付の期間,株数,価格などを公表して,市場外で特定企業の株式を買い付けること ✓ 正答
- 企業間で出資や株式の持合いなどの協力関係を結ぶこと
- 企業の経営陣が自社の株式を取得して,自らオーナになること
- 買収先企業の資産を担保にした借入れによって,企業を買収すること
解説
TOBは日本語で「株式公開買付け」を指します。選択肢の中から「公開買付け」「期間・株数・価格の公表」「市場外取引」というキーワードが含まれているものを選ぶのが正解への最短ルートです。
株式公開買付け(TOB)の仕組み
TOB(Take-Over Bid)は、特定の企業の株式を買い集めたい側が、その条件(買付期間、株数、価格など)を公表し、不特定多数の株主から証券取引所の外で株式を買い付ける手法です。
なぜ「市場外」なのかというと、証券取引所の市場で大量に買い付けると、株価が急激に跳ね上がってしまい、目標とする株式数を適正な価格で集められなくなるからです。そこで、新聞広告や電子公告などで「この条件で買いますので、売りたい人は申し出てください」と広く呼びかけるという手順を踏みます。
買収手法の整理と見分け方
この問題は、混同しやすい企業の買収・再編手法を正しく区別できるかが鍵となります。各選択肢は、主要なM&A(企業の合併・買収)用語を指しています。
・企業間で出資や株式の持合いなどの協力関係を結ぶこと これは「資本業務提携」のことです。互いの株式を持ち合うことで関係を強化し、事業協力体制を築きます。
・企業の経営陣が自社の株式を取得して、自らオーナになること これは「MBO(Management Buyout)」です。経営陣が金融機関などから資金を調達し、株主から自社株を買い取ることで、経営の独立性を高めたり、非上場化して長期的な経営判断を可能にしたりします。
・買収先企業の資産を担保にした借入れによって、企業を買収すること これは「LBO(Leveraged Buyout)」です。「レバレッジ(てこ)」の言葉通り、少ない自己資金に借入金を加えて大きな買収を行う手法です。買収する側の資金力に依存せず、買収先の収益力を返済原資とする点が特徴です。
ビジネス現場におけるM&Aの理解
ITパスポート試験でこれらの用語が問われるのは、IT企業が成長戦略としてM&Aを行うケースが増えているためです。たとえば、自社にない技術を持つスタートアップ企業を、TOBによって傘下に入れることで、開発スピードを劇的に向上させる、といったビジネスシーンが想定されます。
経営戦略としてどの手法を採用すべきかは、買収の目的や買収先企業との関係性によって異なります。TOBは、敵対的買収(買収される側の経営陣が合意していない場合)でも用いられる手法であるため、ニュースなどで見かける機会も多いでしょう。こうした用語を単なる暗記項目ではなく、企業の成長を加速させるツールとして捉えると、経営戦略の章がより深く理解できるようになります。